臨床リウマチ
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誌説
総説
  • 村松 匠, 山岡 邦宏
    2021 年 33 巻 3 号 p. 181-188
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

     関節リウマチ(RA)の病態の中心となっているのがサイトカインである.既存の抗リウマチ薬に加えて,サイトカインなどを標的とした生物学的製剤を用いることで,RAは寛解が達成できる疾患となってきた.さらに,ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬がRAの治療の選択肢となり,既存治療に抵抗性のRAに対しても効果が期待できるようになった.加えて,炎症性腸疾患やコロナウイルス感染症2019(COVID-19)による肺炎など,RA以外の疾患・病態への適応拡大が進んでおり,全身性エリテマトーデスや乾癬性関節炎,強直性脊椎炎などを対象とした臨床試験も進行中である.適応拡大に伴って,その有効性・安全性について,特にCOVID-19 pandemic下での使用について最新の情報に注意を払いつつ見直す必要がある.JAK阻害薬投与中における帯状疱疹(HZ)の発症率は高く,特に日本人で顕著であるため,今後の実臨床データの蓄積が重要である.これに対して遺伝子組み換え帯状疱疹ワクチンによりHZ発症リスクが低減できる可能性があるが,適切な使用方法については疑問点が多い.また,最近行われた試験では悪性腫瘍や主要心血管イベント,静脈血栓塞栓症のリスクが高まる可能性が指摘されている.直近の最大の課題は,JAK阻害薬使用者におけるCOVID-19ワクチン接種と思われ,提言等が行われているが未だ確立した方針はない.本稿ではこれらの課題について最新情報を紹介し,解決に向けた対策について議論する.

原著
  • 荻田 千愛, 東 直人, 松井 聖, 岸田 大, 矢崎 正英, 中村 昭則, 澤井 英明
    2021 年 33 巻 3 号 p. 189-197
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

     家族性地中海熱(familial mediterranean fever: FMF)とは周期的に発熱,漿膜炎症状を繰り返す自己炎症性疾患(autoinflammatory diseases)である.地中海沿岸地域を起源とする民族に多いが,本邦でも臨床症状並びに遺伝子解析によりFMFと診断された症例の集積が進められている.今回我々は15歳から周期的に消化管症状を繰り返し,婦人科や消化器内科にて診断が難渋し,当科での遺伝子解析とコルヒチンの効果判定により,FMFと診断した一例を報告する.同症例に家族歴はないが,当人が発症時未成年であり遺伝子検査にてFMFの典型例に多いとされるMEFV遺伝子のexon10:M694Iヘテロ接合体が検出されたことから,両親の遺伝子検査も施行したところ,父親が無症状であるがM694Iヘテロ接合体が検出された.本邦ではFMFは孤発例が多いとされるが,本症例の父親の様に,集計されている以上に多くのFMFの予備軍が潜伏している可能性が考えられる.また本症例は正常人でも16~23%程度のアレル頻度であることが報告されているexon2:E148Qヘテロ接合体も検出されており,母親も無症状であるが,同遺伝子多型が検出されている.本邦は海外例と比し,FMF発症の遅延性や症状の軽症が指摘されており,FMF患者の両親への遺伝子検査を積極的に行う必要性があるか検討されている.

  • 内田 智久, 岩本 直樹, 岡本 百々子, 川尻 真也, 一瀬 邦弘, 玉井 慎美, 川上 純, 來留嶋 章太, 荒牧 俊幸, 寺田 馨, ...
    2021 年 33 巻 3 号 p. 198-206
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

    目的:サリルマブは関節リウマチに対して2剤目の抗IL-6受容体抗体製剤であるが,実臨床での使用経験についての報告は少ない.今回,日常臨床下で導入されたサリルマブの有用性および安全性について報告する.

    対象:2018年2月から2019年9月までにサリルマブを導入した患者における24週までのclinical disease activity index(CDAI)を用いた治療効果および安全性について後方視的に検討した.また,背景因子で群間比較を行い有効性の差を検討した.

    結果:35例でサリルマブが開始され,開始時の平均年齢は60.3±17.5歳,罹病期間は12.5±9.3年,CDAI 26.2±10.8,メトトレキサート(MTX)併用率は62.9%であった.6例が生物学的製剤およびJanus kinase阻害薬未投与例で,29例は使用歴があった.CDAIは2週時点より17.2と有意差を持って低下し,24週時には10.9±9.2まで低下を認めた.トシリズマブ(TCZ)からの切り替えの有無,MTX併用の有無で有効性を比較したが,TCZ切り替えの有無およびMTXの併用の有無で有効性に差は見られなかった.また,body mass indexによって有効性に差は認めなかった.有害事象は7例であり感染症が最多で7例全例に認めた.また,投与中止例は9例で,効果不十分例が7例であった.

    結論:サリルマブの投与24週までの経過において,開始2週後より疾患活動性の低下を有意に認め,同じIL-6阻害薬からの切り替えや肥満群においても同等の疾患活動性の改善を認めた.また,有害事象での中止は少数であった.サリルマブは日常診療下においても有用であることが示された.

  • 神崎 初美, 井上 満代
    2021 年 33 巻 3 号 p. 207-212
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

     本研究の目的は,登録リウマチ看護師の看護実践能力の構造を明らかにすることである.

     先に開発したリウマチ看護師の看護実践能力尺度(2018,神崎ら)に回答した全国登録リウマチケア看護師227人の結果を二次分析しモデルを構築した.方法として,看護実践能力を構成する5つの因子,すなわち「リウマチに関する知識と技術力」「聴く力」「セルフケアの方法を指導し技術を実践する力」「療養生活を支援する力」「リウマチケアを円滑に運ぶ力」の仮説構造モデル図を描いたうえで,共分散構造分析モデリングによる確証的因子分析を行った.その結果,「リウマチに関する知識と技術力」が基盤となり,他の4つの因子すべてに直接的影響を与えていた.また,「療養生活を支援する力」「リウマチケアを円滑に運ぶ力」の強化には「聴く力」が仲介していた.「療養生活を支援する力」の強化には「セルフケアの方法を指導し技術を実践する力」が仲介していた.モデル構築により5因子からなる看護実践能力の関係性を明らかにできたことで,この構造モデルはリウマチ看護師への教育的介入とその効果判定に活用できる.

  • 松田 渉, 尾崎 吉郎, 重坂 実, 石井 睦康, 田中 晶大, 西澤 徹, 安室 秀樹, 孫 瑛洙, 野村 昌作, 李 一, 吉村 晋一, ...
    2021 年 33 巻 3 号 p. 213-220
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

     77歳の男性.歩行と意思の疎通が困難となり受診した.MRIで右大脳半球皮質にDWI,FLAIR高信号と,脳表・脳溝に沿った造影効果を認めた.関節症状は無かったが,髄液・血清でRFと抗CCP抗体が陽性であり,大脳生検の所見も併せリウマチ性髄膜炎と診断しステロイドで治療した.経過に一致して髄液での抗CCP抗体価も低下し,リウマチ性髄膜炎の病態を考える上で貴重な事例であると考えられた.

  • 小橋 靖子, 渡辺 美紀, 菊地 真佑花, 片上 香里, 西田 圭一郎, 堀田 昌宏, 尾﨑 敏文, 那須 義久, 中原 龍一, 原田 遼三
    2021 年 33 巻 3 号 p. 221-232
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

    【目的】関節リウマチ(RA)患者におけるボディイメージ・アセスメントツール(BIAT)の信頼性と有効性を検証すること.

    【方法】本研究は横断的観察研究である.外来通院中(非手術群)および入院中(手術群)のRA患者265例および健常人62名を対象にBIAT質問用紙への回答を依頼した.信頼性の評価として,内部一貫法にはRA患者265例のbaselineのデータを,再テスト法には健常群62名のbaseline・3週後,および非手術群76例のbaseline・半年・1年後のデータを用いた.既存の評価法としてBDI-II(Beck Depression Inventory-II, ベック抑うつ質問票)を用いてBIATの臨床評価としての妥当性を検討した.RA患者265例をDAS28-CRPに基づき,寛解,低疾患活動性,中疾患活動性,高疾患活動性に群別し,BIATとの関連を検討した.さらに非手術群と手術群でBIATに差があるかどうかを検討した.

    【結果】BIATは全体の評価でも各構成概念の評価でもα係数は0.8以上を示しており,高い一貫性を有していた.再テスト法ではBIAT全体平均において,健常群のbaselineと3週後で相関係数0.75,非手術群のbaselineと半年後および1年後で相関係数0.79および0.78であり,比較的高い信頼性が確認できた.BIAT全体スコアはBDI-IIと有意な負の相関(r=-0.64, P<0.001)を示した.BIATは疾患活動性が高いほど低値となる傾向があることが示された.手術群でのbaselineの平均BIATの値はいずれの構成概念においても非手術群よりも有意に低値であった.

    【結論】RA患者に対するBIATは,高い一貫性,安定性を有する評価ツールであることが確認された.

  • 伊藤 聡, 岡林 諒, 阿部 麻美, 大谷 博, 中園 清, 村澤 章, 石川 肇, 長谷川 絵理子, 小林 大介, 成田 一衛, 坂井 俊 ...
    2021 年 33 巻 3 号 p. 233-245
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

    目的:慢性腎臓病(CKD)を合併した関節リウマチ(RA)患者における持続性エリスロポエチン受容体活性化剤(CERA)の有用性の検討.

    方法:CERAを使用した37例のRA患者のうち,11例は12ヶ月以内に死亡していた.12ヶ月以上CERAを使用した26例(男性2例, 女性24例)について有用性を検討した.

    結果:患者年齢は77.4±7.0才,罹病期間は17.9±14.5年であった.血液尿素窒素25.8±10.6 mg/dl,血清クレアチニン(Cr)は1.2±0.5 mg/dl,推算糸球体濾過量は41.6±16.0 ml/min/1.73m2であった.血清鉄やフェリチンの低下はなく,不飽和鉄結合能は上昇しておらず,平均赤血球容積の低下は認めなかった.血清エリスロポエチンの上昇は認めなかった.CERAの使用により(43.1±21.4μg/month),ヘモグロビン(Hb)は8.70±1.1 g/dlから10.0±1.2 g/dlに上昇していた(p<0.001).鉄剤の使用やRAの治療強化のなかった15例でも,Hbは9.1±0.8g/dlから10.1±1.2 g/dlに上昇していた(p=0.028).8例でCERAを中止でき,その後3例は再開したが,1例は再度中止することが可能であった.

    結論:RA患者においては,CKDが疑われる場合ではCrが低い場合でも,CERAを使用すべきと考えられた.

  • 黒瀬 理恵
    2021 年 33 巻 3 号 p. 246-252
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

     91歳女性.両手関節の腫脹と疼痛が出現し,両肩関節,両膝関節痛の悪化,歩行困難となり当科紹介受診となった.炎症反応が高値で,RF,抗CCP抗体ともに陽性であり,最終的に関節リウマチの診断に至った.ゴリムマブを使用し奏功したが,治療開始後約6ヶ月で再燃した.その後,プレドニゾロンの増量やアバタセプトへの変更をして治療継続中であるが,J-HAQの改善は乏しく非高齢者と同じ治療目標は難しいと考える.

  • 荒牧 俊幸, 梅津 彩香, 原 万怜, 高谷 亜由子, 寺田 馨, 江口 勝美, 植木 幸孝, 岩本 直樹, 一瀬 邦弘, 川上 純
    2021 年 33 巻 3 号 p. 253-263
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/10/22
    ジャーナル フリー

    目的:日常診療下において生物学的製剤(bDMARD)未治療RA患者に投与された抗TNF製剤の薬剤継続率とその中止理由に関連する背景因子について検討する.

    対象・方法:当科外来において1st bDMARDとして抗TNF製剤が選択された患者を対象とし,薬剤継続率をKaplan-Meyer法により検討した.中止理由のうち寛解,効果不十分,有害事象の累積発生率とそれに関連する背景因子について多変量解析を用いて抽出した.

    結果:対象は455名で,全体の治療継続率は1年64.1 %,2年47.0 %,3年34.5 %,中止理由別の累積発生率については,寛解中止1年: 2.2 %,2年: 9.6 %,3年: 13.7 %,効果不十分中止1年: 11.7 %,2年: 17.7 %,3年: 21.6 %,有害事象中止1年: 13.1 %,2年: 17.7 %,3年: 20.6 %であった.寛解中止の累積発生率を増加させる因子として3か月目のCDAI低疾患活動性,6か月目でのCDAI 50達成が,低下させる因子としてETN,2007年まで治療開始,CRP高値が抽出された.効果不十分中止ではCRP高値,MTX高用量併用,PSL高用量内服,有害事象中止では高齢発症であることが累積発症率を増加させる因子であった.

    結論:効果不十分中止と有害事象中止の累積発生率には薬剤間で有意な差は認められず,患者側の背景因子が関与していることが示唆された.寛解中止に関する因子として抽出された因子からは,本邦で使用できる薬剤が増えたことやRAに対する治療方針が変化したことが実臨床での治療目標,治療方針に影響をあたえていることを示唆していると考えられた.

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