2018 年 29 巻 p. 75-86
本報告は,赤外線サーモグラフィ等によって測定された構造物の表面温度分布に基づいて,その構造物内に存在する変状の位置等を自動的に検出する方法について基礎的な検討を行った。定常信号内の非定常信号の局所的な周期及び方向の特性を抽出するのに有効である2次元ガボールウェーブレット変換フィルタを利用することにより,構造物内の特定の変状に関連した表面温度分布の固有の形状変化を解析的に検出する。変状としてコンクリート構造物内のひび割れを選び,ひび割れを有する構造物の表面温度分布を有限要素解析,実験,及び実測によって求めた。これらのデータを用いて,本検出方法の有効性及び機能を検証した。