2006 年 21 巻 1 号 p. 24-31
染色体末端におけるテロメアの短縮は, DNA損傷応答を惹起して細胞老化を誘導することから, 発がん予防の一翼を担うと考えられている. がん細胞の無限増殖性はテロメラーゼによるテロメア長の維持に依存しているため, テロメラーゼ阻害剤は新たながん分子標的治療薬となりうる. テロメラーゼのテロメア会合を促進すると考えられるタンキラーゼ1もまた, 有望なテロメア分子標的である. テロメラーゼ阻害剤の制がん効果はテロメアの短縮に依存すると考えられてきたが, 最近ではテロメア非依存的な作用メカニズムの存在も示唆されている.