ドラッグデリバリーシステム (DDS) による標的治療は, 薬剤の体内動態を制御し, 患部選択的に薬剤を集積させることで, 治療効果の向上と副作用の軽減を達成することを目的としているが, 近年, その細胞レベルでの効果についても注目されるようになってきた. すなわち, 薬剤キャリアの利用は, 標的局所における薬物の細胞内動態 (取り込み過程, 細胞内局在, 細胞内での薬剤の放出パターン) に変化をもたらし, 薬剤の薬理作用に影響を与えると考えられる.
本稿では, そのようなDDSの細胞レベルでの作用メカニズムに関して, 遺伝子発現評価を中心とした最近の研究について紹介する.
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