抄録
効率的な遺伝子ベクターを構築するためには,細胞への取込みやエンドソーム脱出,核移行などのさまざまな細胞内動態を制御する必要がある.筆者らは,これらを突破するための素子を一つのベクターに搭載するためのベクターとして,多機能性エンベロープ型ナノ構造体(MEND)の構築に成功した.本ベクターはin vitroのみでなく,in vivoにおいても腫瘍や毛包細胞に遺伝子を送達可能であることが明らかとなった.また,非ウイルスベクターの細胞内動態をウイルスと比較を行うことで,現在の非ウイルスベクターの弱点が核移行後の発現効率にもあることを明らかとした.