Drug Delivery System
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22 巻, 2 号
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"遺伝子・核酸医薬品のデリバリー -特集によせて
  • 新留 琢郎, 河野 喬仁, 山形 真人, 栗原 亮介, 奥田 竜也
    2007 年 22 巻 2 号 p. 108-114
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/07
    ジャーナル フリー
    デンドリティックポリリジンはアミノ酸から構成されるデンドリマーで,プラスミドDNAと中性の複合体を形成し,さまざまな培養細胞に対して,低毒性で高いトランスフェクション効率を示す.リニアタイプのポリリジンとくらべ,細胞内に取り込まれる量は少ないが,細胞質への移行効率が高く,また,DNAのコンパクションが弱い.細胞内でDNAをリリースしやすい,あるいは,転写因子がアクセスしやすいことが高発現の原因だろう.
    プラスミドDNAとの複合体を尾静脈より投与すると,3時間後においても分解されていないDNAが血中から観察され,その他,肝臓や肺にも分布がみられた.さらに,siRNAの肝臓へのデリバリーにも成功し,そのin vivoでの応用が期待される.
  • 秋田 英万, 小暮 健太朗, 原島 秀吉
    2007 年 22 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/07
    ジャーナル フリー
    効率的な遺伝子ベクターを構築するためには,細胞への取込みやエンドソーム脱出,核移行などのさまざまな細胞内動態を制御する必要がある.筆者らは,これらを突破するための素子を一つのベクターに搭載するためのベクターとして,多機能性エンベロープ型ナノ構造体(MEND)の構築に成功した.本ベクターはin vitroのみでなく,in vivoにおいても腫瘍や毛包細胞に遺伝子を送達可能であることが明らかとなった.また,非ウイルスベクターの細胞内動態をウイルスと比較を行うことで,現在の非ウイルスベクターの弱点が核移行後の発現効率にもあることを明らかとした.
  • 西川 元也, 高橋 有己, 高倉 喜信
    2007 年 22 巻 2 号 p. 123-130
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/07
    ジャーナル フリー
    がんは遺伝子の発現異常と密接に関連することから,その異常を修復することによりがん治療が実現可能である.がん遺伝子やがんの進展・転移に関連する遺伝子の発現を抑制することで,副作用の少ないがん特異的治療が実現するものと期待される.
    RNA干渉の発見により,配列特異的な遺伝子発現抑制が現実のものとなった.これまでにsiRNAまたは短鎖ヘアピン型RNA(shRNA)発現ベクターの細胞内導入により,標的遺伝子の発現を効率よく抑制可能であることが報告されている.shRNA発現プラスミドDNA(pshRNA)を用いることで,siRNAと比較して長期間の遺伝子発現抑制が得られる.pshRNAが移行した細胞でのみ遺伝子発現が抑制されることから,RNA干渉の誘導によるがん治療効果を決定する重要な要因としてpshRNAのがん細胞へのデリバリー効率があげられる.
    本稿では,がん治療を目的としたpshRNAのがん細胞へのデリバリーについて概説する.
  • 岡本 浩一
    2007 年 22 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/07
    ジャーナル フリー
    キトサンは生体適合性が高く,遺伝子との複合体はDNase抵抗性を持つ.脱アセチル化度(DDA),分子量,N/P比(キトサン中の窒素と遺伝子中のリンのモル比)は,キトサンの遺伝子結合能および送達能を決める重要なパラメーターとなる.低分子キトサンは,高分子キトサンにくらべて遺伝子結合能は低いが,水溶性が高い.また,DDAを高くすることで遺伝子結合能が改善される.しかし,結合能が高すぎると,細胞内での遺伝子放出性が低下し,発現の遅延および低下につながる.近年では,キトサンの溶解性改善や組織標的化を目的とした種々のキトサン誘導体が検討されている.
  • 湯浅 勝敏, 土方 貴雄, 武田 伸一
    2007 年 22 巻 2 号 p. 140-147
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/07
    ジャーナル フリー
    筋ジストロフィーは進行性の筋力低下を示す筋疾患で,筋形質膜関連蛋白質の遺伝子変異により正常蛋白質の発現がみられない.筋ジストロフィーの遺伝子治療のためにウイルスベクターなどを用いたいくつかの治療戦略が開発され,正常蛋白質の部分的発現は可能である.しかし,これら治療戦略でも筋特異的にさらに安全に全身の骨格筋に治療遺伝子を導入することはいまだ不可能で,臨床に適用できていない.
    本稿では,筋ジストロフィーの発症原因とその遺伝子治療戦略について紹介し,全身の骨格筋を対象とした安全な全身投与に向けての現状と問題点ついて考察する.
  • 川端 健二, 櫻井 文教, 水口 裕之
    2007 年 22 巻 2 号 p. 148-154
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/06/07
    ジャーナル フリー
    アデノウイルスベクターは,遺伝子治療や基礎研究に幅広く用いられている.しかしながら,アデノウイルスベクターの受容体であるCARの発現が乏しい細胞では,アデノウイルスベクターによる遺伝子導入効率は低い.そこで筆者らは,CAR非依存的に遺伝子導入可能な種々のカプシド改変型アデノウイルスベクターを開発してきた.本稿では,これらのカプシド改変型アデノウイルスベクターの特徴と,その応用例として,近年,再生医療分野で注目を浴びている各種幹細胞への高効率遺伝子導入法について解説する.
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