2018 年 33 巻 5 号 p. 390-396
消化器疾患の治療では、全身および非病巣への薬物分布による重篤な副作用が大きな障壁となっている。この問題を解決するための、消化器疾患に対する新たなDDS手段として、腹腔内の臓器表面から薬物を浸透させる臓器表面投与法を考案した。円筒状の拡散セルにより吸収部位が肝臓表面に限定された実験系を新たに構築して、腹腔内の消化器の代表例として肝臓表面からの薬物吸収性を検討した。物性の異なる各種マーカー化合物は、分子量や脂溶性などの物理化学的性質に基づいて、肝臓表面より良好に吸収される可能性を初めて証明した。さらに、抗がん薬に対する本投与形態の適用に関して、肝臓内の投与部位近傍における5-FUの高度な分布を認めた。他の腹腔内臓器である腎臓や消化管漿膜表面からの薬物吸収性や臓器分布についても検討を加えている。また、臓器表面投与法は遺伝子医薬品にも応用可能で、さまざまな戦略により遺伝子発現を促進できることも明らかにした。