日本皮膚科学会雑誌
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原著
ヒト皮膚微小血管内皮細胞とヒト皮膚線維芽細胞に対するキマーゼの作用について
田辺 裕子相馬 良直高井 真司宮崎 瑞夫溝口 昌子
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ジャーナル 認証あり

2002 年 112 巻 3 号 p. 239-246

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抄録
キマーゼは肥満細胞の細胞質内顆粒に存在する蛋白分解酵素であり,トリプターゼ,ヒスタミンなどとともに脱顆粒により細胞外へ放出される.線維化や創傷治癒における肥満細胞の役割を解明するためには,キマーゼの血管内皮細胞や線維芽細胞に対する作用を理解する必要がある.そこで我々は,ヒトキマーゼのヒト皮膚微小血管内皮細胞(HDMEC)とヒト皮膚線維芽細胞増殖に及ぼす効果につき検討した.キマーゼはHDMEC増殖には作用しなかったが,1 nMの低濃度でヒト皮膚線維芽細胞を有意に増殖させた.後者の反応は,キマーゼの基質を加えることにより拮抗的に阻害された.HDMECとヒト皮膚線維芽細胞におけるICAM-1,VCAM-1の発現は,キマーゼにより変化しなかった.これらの結果より,線維化病変や創傷治癒における肥満細胞の役割の一つとして,キマーゼ放出による線維芽細胞増殖が示唆されたが,内皮細胞に対するキマーゼの効果は証明できなかった.また,別のキマーゼ阻害作用のある薬物を入手し調べてみたところ,これはHDMECを有意に増殖させ,HDMEC上のVCAM-1発現を増強させたことから,キマーゼ阻害作用を介さない血管新生作用がある薬物であると思われた.
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© 2002 日本皮膚科学会
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