日本皮膚科学会雑誌
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112 巻, 3 号
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追悼
生涯教育講座
  • 板見 智
    原稿種別: 生涯教育講座
    2002 年 112 巻 3 号 p. 225-231
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
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    The hair follicle is the only periodically and regularly regenerating organ system throughout the lifetime of the mammalian adult ; therefore, the hair follicle is the ultimate model for the study of morphogenesis, tissue remodeling, and stem cells. Many growth factors and transcription factors such as FGF, BMP, tabby/downless, EGF family, Wnt-Frizzled-β-Catenin-Lef-1, and Shh-Patched have been identified as morphogenic molecules, and some genes are directly involved in the development of skin tumors. Several genes are specifically involved in the remodeling of hair follicles. Stat3 is a downstream signaling molecule of cytokines and growth factors including EGF and HGF. Conditional targeting using the K5-Cre/loxP system allowed us to generate keratinocyte-specific Stat3 knockout mice. Comprehensive analysis of skin development as well as wound healing and hair cycling in these keratinocyte-specific, Stat3-null mice revealed that Stat3 plays pivotal roles in skin remodeling. Another typical example of the signal transduction in the hair follicle is the androgen-androgen receptor system. Human dermal papilla cells (DPC) are targets of androgens. Insulin-like growth factor-I (IGF-I) was identified as one of the androgen dependent paracrine growth factors needed for hair growth. In contrast, frontal scalp DPC inhibit the growth of follicular epithelial cells in an androgen-dependent manner. TGF-β may be involved in this growth suppression.
原著
  • 橋壁 道雄, 宮崎 達也, 原 典昭, 山蔭 明生, 山﨑 雙次
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 3 号 p. 233-238
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    当科にて加療中の全身性強皮症患者59例を対象として,橋本病の合併について検討した.全身性強皮症59例中23例(39.0%)と高率に橋本病の合併を認め,病型別ではDiffuse type 19例中9例(47.4%),Limited type 40例中14例(35.0%)であった.特にシェーグレン症候群を合併した全身性強皮症29例中の橋本病合併は14例(48.3%)と高頻度に認められた.橋本病合併群は橋本病非合併群と比較し,顔面の皮膚硬化が強い傾向を認め,とりわけ甲状腺機能低下群は有意に顔面の皮膚硬化が強かった.従って,顔面の皮膚硬化の強い症例に橋本病合併が高い傾向が見られ,なかでも甲状腺機能低下例は,明らかに顔面の皮膚硬化と関連していると思われた.これまで全身性強皮症の橋本病の合併は,Limited type,女性例,シェーグレン症候群合併例に多いとされていたが,今回の我々の検討では,むしろ,Diffuse type,顔面のスキンスコア高値例に橋本病合併が多い傾向が認められた.全身性強皮症患者では,橋本病合併の頻度が高いため,ルーチンに抗甲状腺抗体の検査をすべきと考えられた.
  • 田辺 裕子, 相馬 良直, 高井 真司, 宮崎 瑞夫, 溝口 昌子
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 3 号 p. 239-246
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
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    キマーゼは肥満細胞の細胞質内顆粒に存在する蛋白分解酵素であり,トリプターゼ,ヒスタミンなどとともに脱顆粒により細胞外へ放出される.線維化や創傷治癒における肥満細胞の役割を解明するためには,キマーゼの血管内皮細胞や線維芽細胞に対する作用を理解する必要がある.そこで我々は,ヒトキマーゼのヒト皮膚微小血管内皮細胞(HDMEC)とヒト皮膚線維芽細胞増殖に及ぼす効果につき検討した.キマーゼはHDMEC増殖には作用しなかったが,1 nMの低濃度でヒト皮膚線維芽細胞を有意に増殖させた.後者の反応は,キマーゼの基質を加えることにより拮抗的に阻害された.HDMECとヒト皮膚線維芽細胞におけるICAM-1,VCAM-1の発現は,キマーゼにより変化しなかった.これらの結果より,線維化病変や創傷治癒における肥満細胞の役割の一つとして,キマーゼ放出による線維芽細胞増殖が示唆されたが,内皮細胞に対するキマーゼの効果は証明できなかった.また,別のキマーゼ阻害作用のある薬物を入手し調べてみたところ,これはHDMECを有意に増殖させ,HDMEC上のVCAM-1発現を増強させたことから,キマーゼ阻害作用を介さない血管新生作用がある薬物であると思われた.
  • 井上 奈津彦, 米本 広明, 小松崎 眞, 太田 有史
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 3 号 p. 247-254
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
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    アトピー性皮膚炎患者の皮疹がストレスで増悪する事は良く知られているが,その部位の検討は行われていない.今回我々は,1年以上観察している思春期後のアトピー性皮膚炎患者102名に対して手背部の皮疹の発症・増悪因子に関する観察とアンケート調査を行い,検討した.年齢は15~47歳(平均28.5歳),性別は男40例,女62例で男女比1:1.5であった.1年間の観察期間中に78例,76.5%で手背部皮疹が見られ,その94.9%が皮疹の存在時に瘙痒を自覚していた.手背部皮疹は左右差を認めないものが59.0%と多かった.手背部皮疹の増悪因子としてストレスと考えられるものが55.7%で,外的刺激と考えられるものは38.0%であった.外的刺激に比べてストレスの方が高頻度に見られた.ストレス負荷時にいずれかの部位に瘙痒の出現を自覚するものが75例(73.5%)あり,最も多い部位は手背部で24.5%,次いで顔面20.6%であった.思春期後のアトピー性皮膚炎患者に見られた手背部皮疹の発症増悪因子の中で,ストレスが最も高頻度であった.
  • 大塚 俊, 彭 志中, 橋壁 道雄, 宮本 由香里, 山蔭 明生, 山﨑 雙次, 松野 明美
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 3 号 p. 255-260
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル 認証あり
    養護施設で集団発生した成人麻疹の5例を経験した.いずれの症例も精神発達遅延などの基礎疾患があり,20年間以上も獨協医科大学近くの同じ養護施設に入所していた.5症例はほぼ同時期に発症し,いずれも入院加療にて良好な経過が得られた.当施設では平成11年に入所者全員(61名)の麻疹,風疹,ムンプスおよび水痘・帯状疱疹ウイルスの各抗体価を予め測定していたため,早期に発症を予測でき診断の助けになった.当施設の入所者は全員成人であるが,各ウイルス抗体価の保有率は麻疹86.9%,風疹45.9%,ムンプス67.2%および水痘・帯状疱疹93.4%で,麻疹と風疹は一般成人に比較し低い傾向であった.その原因として,ワクチン未接種者が多いことや,養護施設では一般社会と隔離した環境にあり,感染機会が少ないことが考えられた.また,限られた環境で集団生活しているため,集団発生の危険があり注意を要する.今回の経験から他の同様の施設においても,各ウイルス抗体価のスクリーニングが必要と思われた.
  • 土井 理左, 岡本 祐之, 堀尾 武
    原稿種別: 原著
    2002 年 112 巻 3 号 p. 261-265
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2014/12/27
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    54歳,女性.約5年前から,すべての指趾の爪甲が黄色に肥厚していることに気付いていた.気管支拡張症と顔面・下肢の一過性のリンパ浮腫を合併しており,3主徴が揃った典型的なyellow nail症候群と診断した.さらに,慢性副鼻腔炎の合併も証明された.クラリスロマイシンの内服により気管支拡張症と副鼻腔炎は改善し,ステロイド外用薬と活性化ビタミンD3外用薬の塗布により,正常爪の出現をみている.文献的に副鼻腔炎の合併は20~25%にみられ,本症候群の主要な病変の1つと考えられる.マクロライド系抗生剤による本症の治療に関する報告はないが,試みるべき治療法と考え,その奏功機序を考察した.
学会抄録
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