日本皮膚科学会雑誌
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原著
爪甲下グロムス腫瘍を合併した神経線維腫症1型の2例 ―その発症に関わる遺伝子異常について―
山田 朋子村田 哲森田 亜希小堀 洋一平賀 教子清澤 智晴大槻 マミ太郎中川 秀己
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2003 年 113 巻 1 号 p. 43-48

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抄録

症例1,19歳,女.神経線維腫症1型(NF1と略す).1年ほど前より右小指の爪下に疼痛があり,切除.組織はグロムス腫瘍であった.症例2,37歳,女.NF1.5~6年前より左環指に,4~5年前より左母指に疼痛を認めるようになった.切除行われグロムス腫瘍であった.両症例とも,家族歴にNF1があるが,グロムス腫瘍の家族歴はなかった.非常にまれながら,NF1にグロムス腫瘍の発生の報告例があり,特に多発性に爪甲下に発生する.近年,家族性グロムス腫瘍領域VMGLOが1p22-p21にマッピングされた.NF1は17q11.2である.これまでの報告例と自験例を解析したところ,NF1に発生するグロムス腫瘍は,家族性グロムス腫瘍よりは,孤発性グロムス腫瘍の症状に類似している.NF1でのグロムス腫瘍の発生に未知のグロムス遺伝子の変異を考える意見があるが,我々は,NF1患者では,NF1遺伝子の異常そのものがグロムス腫瘍を起こしているのではないかと考えた.

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© 2003 日本皮膚科学会
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