日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
原著
抗TNF-α抗体(Infliximab,レミケード®)が著効した重症乾癬性関節炎
乃村 俊史小玉 和郎西村 真智子安倍 将隆小野塚 貴川嶋 利瑞清水 宏
著者情報
ジャーナル 認証あり

2006 年 116 巻 4 号 p. 437-441

詳細
抄録

乾癬性関節炎の発症には,TNF-αが重要な役割を担っており,欧米ではinfliximabなどのTNF-αに対する生物製剤が次々に使用されるようになっている.今回我々は,乾癬性関節炎に対してinfliximabを使用し,極めて高い効果が得られたため,報告する.39歳男性.約10年前に尋常性乾癬を発症し,約3年前から多発関節痛を自覚していた.他医でcyclosporin内服を行ったが改善せず,通院を自己中断したところ増悪し,当科へ入院した.入院時,ほぼ全身の皮疹及び強い多発関節痛を認め,可動域制限も高度.Etodolac及びmethotrexateの内服開始4週後にACR20(アメリカリウマチ学会指標で20%改善)が得られたが,患者のQOLは依然低く,炎症反応も改善が認められなかった.将来的に関節破壊の進行が必発と考えられたため,北海道大学医学部倫理委員会の承認の下,infliximab 3 mg/kgを投与したところ,初回投与翌朝から関節痛の著明な軽減を自覚し,朝のこわばりも消失した.Infliximab 3回投与後には,炎症所見も正常化し,ACR70が得られ,また皮疹も著明に改善した.欧米での報告と同様に,本症例に対してもinfliximabが著効したことから,今後本邦においても早急な保険適応が望まれる薬剤であると考えられた.

著者関連情報
© 2006 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top