2006 年 116 巻 8 号 p. 1195-1200
38歳,男性.咽頭痛の後,全身に浮腫性紅斑及び丘疹が出現し,一部は虹彩様の紅斑を呈した.多型滲出性紅斑と診断し,セフェム系抗生剤及びコルチコステロイド内服薬を投与されるも症状は軽快しなかった.約10日後,皮疹は鱗屑を伴う紅斑へと変化した.病理所見にて角層に好中球を伴った錯角化および真皮乳頭層の血管拡張がみられ,乾癬の初期像として矛盾しない所見であったため,最終的に滴状乾癬と診断した.内服PUVA療法を施行したところ,皮疹は約2カ月後に治癒した.最初の浮腫性紅斑は乾癬の初期疹であったと考えた.