日本皮膚科学会雑誌
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新・皮膚科セミナリウム ここまでわかった皮膚悪性腫瘍の発生機序
3.乳房外パジェット病の悪性化メカニズム
梶原 一亨
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2023 年 133 巻 3 号 p. 467-471

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抄録

がん細胞は,持続的な増殖シグナル・ゲノム不安定性・細胞エネルギー制御などの機能を有すると同時に,免疫逃避機構・血管新生誘導などを通じて腫瘍促進的な腫瘍微小環境を形成する.また近年,同一疾患での多様性(腫瘍間不均一性)のみならず,同一患者内での多様性(腫瘍内不均一性)が解明され,がんゲノム進化の概念が確立された.乳房外パジェット病(extramammary Paget's disease:EMPD)では,新規治療標的分子になりうる各種分子が強発現していること,がんゲノム進化の時間的および空間的多様性が存在することが解明されつつある.本稿では,乳房外パジェット病の悪性化機序に関して,最近の知見を中心に概説する.

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© 2023 日本皮膚科学会
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