日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
Print ISSN : 0021-499X
ISSN-L : 0021-499X
皮脂腺機能の研究,特に内分泌との関係
高石 喜次
著者情報
ジャーナル 認証あり

1960 年 70 巻 4 号 p. 433-

詳細
抄録

最近皮脂腺機能の研究が頓に活溌になつてきた.いう迄もなく皮脂腺脂質の起原としては,血流脂質の脂腺への移入と,脂腺細胞に於ける脂質合成との2つが考えられており,これには年,性,内分泌,ビタミン,食飼等を初め極めて雑多な内外の因子が関連しているが,それ等の中で最も重要な因子をなしているのは何と云つても内分泌であろう.従つてそれに関する文献は我国では未だ極めて寥々たるに過ぎないが,外国では比較的多く見出されている.然しながらそれ等を通覧して感じられたことは次項にも詳記せる如くその殆ど総てが性ホルモンに就いての業績に限られており,その他の内分泌的観照は殆ど見出されないことである.而も性ホルモンに就ての業蹟にしても仔細に検討してみると未だ解明されていない分野が少なからず残されており,特に黄体ホルモン等に就ての知見は全く知られていないと云つても過言でない.そこで余は今回,広く諸種ホルモン剤を全身的に投与或は軟膏として外用し,一方人体では皮脂量に,他方動物には組織学的にみた皮脂腺容積に及ぼす影響を夫々系統的に検討し,又人体では年令,性,性周期その他と皮脂量との関係,二,三疾患の皮脂量等をも併せ検したのであるが,これにより若干の知見を得たので以下それら成績を記述し,少しく卑見を加えてみようと思う.

著者関連情報
© 1960 日本皮膚科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top