抄録
尋常性白斑の治療に関しては,わが教室において既に十有余年前よりその発生機序に関して組織解剖学的,生化学的,生理学的等多方面の分野において検索を進める傍ら,種々の治療法を考案,改革しつゝ有意な成績を得ており,逐次発表して諸家の批判を仰いで来たのであるが,症例に適応と考えられる方法を適用しても期待する程の効果をあげ得なかつたり,数種の方法を混用しても長期に亘り好転の兆を認めなかつたり,又は短期間に治癒を要望されて困惑する場合を経験する機会が少なしと云えなかつた.この様な場合の病変部皮膚は光線照射と局所的処置等により肥厚,硬化,時には萎縮を来たし,色素恢復の希望が少ないのみか周辺部正常皮膚色素の活溌な拡散傾向にも乏しく,従来の治療法に替えるに外科的療法等を考慮するものの治癒後における美容的方面での難点が大なる抑制因子となつていた.われわれは最近数年前よりこれらの条件を充しつつ患者も満足し得る方法として,皮膚点状移植法を考案し,初期の数例での経験でかなりの効果を得たので以後引続き実施した18例の症例についての結果を述べ考案を試みたいと思う.