日本皮膚科学会雑誌
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実験的接触皮膚炎の研究 アレルギー性接触皮膚炎の血管透過性因子について
北野 允基
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1973 年 83 巻 1 号 p. 15-

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抄録

Delayed hyoersensitivityへのapproachを目的としてDNCBアレルギー性接触皮膚炎を用いて,そのchemical mediatorsの追求をこころみた.DNCBアレルギー性接触皮膚炎の炎症の最盛期である16時間目のモルモット腹部皮膚よりSephadex G 50,Sphadex G 25,Dowex 50 WX2のカラムクロマトグラフィーおよび電気泳動法を用いてDA-1,DA-2,DA-3,DA-4と名づけた4つの血管透過性を有する.電気泳動的にhomogenousな分子量10,000前後のぺプタイドと考えられる物質をうることができた.これらの物質は60℃,30分の熱処理に対して,それぞれ活性を失わず,抗ヒスタミン剤に対する反応では,DA-1は40%の抑制,DA-2は30%,DA-3は60%,DA-4は50%の抑制を受けたが,完全に抑制されたものはなかった.またラット腸間膜の肥満細胞に対する作用は,DA-1は非常に強い脱顆粒をきたし,DA-2はやや強く,DA-3はほとんどおこさず,DA-4は全く脱顆粒を認めなかった.また色素注入後の漏出出現の速さをみるとDA-1が最も速く,DA-2,DA-3ではやや遅く,DA-4は30分前後よりはじめて色素の漏出を認めた.以上の結果より著者のえた血管透過性を有する4種の物質は,DA-1のように,林らのいう炎症第Ⅰ相を出現させるhistamine releasor的な物質であり,またDA-4は炎症の第Ⅱ相を出現させることのできる,いわゆるchemical mediator的な物質である可能性を充分に持っていると考える.これらのことより著者は,遅延型過敏症においてもまた,vasoexinのような即時型過敏症とほぼ同様のmediatorによって引きおこされ,mediator自体に両者の差はないのではないかと考えた.さらに現在まで報告されている透過性因子,特に皮膚より抽出された血管透過性因子について多少の文献的考察をおこない,比較検討した.

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© 1973 日本皮膚科学会
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