日本皮膚科学会雑誌
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リウマチ熱に併発した若年性疱疹状皮膚炎特にその免疫組織学的所見について
安江 隆馬場 えつ子
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1978 年 88 巻 2 号 p. 59-

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抄録

リウマチ熱(RF)の経過中に発症し,口腔粘膜疹を伴った若年性疱疹状皮膚炎 (JDH) の9歳男児例を報告した.蛍光抗体法にて, JDH の増悪期の皮膚(無疹部および皮疹部)の表皮真皮間基底膜部 (BMZ) と真皮上層の血管壁に, IgG , IgA , 補体成分の沈着が認められ,初期の皮疹部の BMZ には FR 抗原(フィブリノーゲン,フ4プリン,FDP)の局在も証明されたが,RF や JDH が完全に治癒し, ASLO 値も正常化した時点の皮膚では,これらの沈着は認められなかった.ペニシリン剤と副腎皮質ホルモン剤の大量投与とにより,RF の症状は消失したが,JDH は抑制されず, JDH には DDS が著効を奏した. JDH 増悪期の皮膚で認められた immune complex と思われるこれら免疫グロブリンの沈着が,RF または溶連菌感染に結果したものであろうことは確実と思われたが,これが JDH の皮疹や粘膜疹発生の原因か否かの判定には慎重を要すると思われた.

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