抄録
13歳と3歳8ヵ月男子の無汗性外胚葉形成不全症(Anhidrotic ectodermal dysplasia: 以下A.E.D・と略す)の2例について発汗テストを含む種々の検査を行なった.その結果,1例は完全な無汗であったが,他の1例は僅かに発汗が認められた.両例とも lgE が高値で,アトピー性皮膚炎,惨出性中耳炎,萎縮性鼻炎,榎声,羞明があり,1例は心房中隔欠損症を合併していた. 1883年から1979年までに発表された種々様々な variant type のある A.E.D. 114例を考察して,本症を遺伝形式別に分類した.即ち, A.E.D.は, (1)定型的な症状をきたす伴性劣性遺伝性男子例. (2) (1)の完全症状あるいは部分症を呈して保因者に相当する女子例.(3)近親婚が遺伝的背景にある常染色体劣性遺伝性の症例. (4)有汗性外胚葉形成不全症 (Hidrotic ectodermal dysplasia) に似た症状を呈する常染色体優性遺伝性の症例と大きく4型に分類できた.自験例は共にA.E.D. の伴性劣性遺伝性男子型であり,その部分症を有する姉や母は A.E.D. の伴性劣性遺伝性女子型であると考えた.