日本皮膚科学会雑誌
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実験的腸性肢端皮膚炎の研究
八木 茂
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1981 年 91 巻 4 号 p. 453-

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抄録

ヒトの腸性肢端皮膚炎の病態を解明すべくブタに亜鉛欠乏症の作成を試み,次の興味ある知見を得た.低亜鉛食飼料に Ca・フィチン酸を添加することによって高度の亜鉛吸収阻害状態を作成して始めて,臨床的にも組織学的に.も,腸性肢端皮膚炎類似の病変の惹起に成功した.皮膚病変出現時では低血清亜鉛であり,皮膚亜鉛含量は病巣部,非病巣部ともに極めて低値であり,皮疹の出現に機械的刺激の関与が重視された.脱毛は皮疹出現に遅れて認められた.亜鉛欠乏の症状として成長の抑制が顕著であった.上記腸性肢端皮膚炎様病変は亜鉛を添加することなく通常のブタ飼料に変更することによって,速やかに消失し,体重も増加し,血清・皮膚亜鉛値も正常範囲内に復することを明らかにした以上の結果から腸性肢端皮膚炎は亜鉛欠乏症に基づく病変であることを実験的に解明した.

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© 1981 日本皮膚科学会
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