日本皮膚科学会雑誌
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各種皮膚疾患における流血中 Immune Complex の検索 -125I-C1q 結合試験および血小板凝集法を用いて-
梁瀬 恵子今村 貞夫
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1981 年 91 巻 5 号 p. 549-

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抄録

皮膚科領域における自己免疫疾患およびその近縁疾患に対して血小板凝集法と Clq 結合試験による血中 Immune Complex (以下IC)の測定を試みた.膠原病の中では全身性エリテマトーデス,進行性全身性硬化症に高値の IC が認められ,とりわけ全身性エリテマトーデスでは血中 C3 値は低下がみられた.水疱性疾患のうちでは天疱瘡に高値の IC がみとめられた.紅斑および血管炎のうちでは皮膚血管炎,結節性紅斑で高値の IC を認めたが,多形溶出性紅斑・薬疹などにもしばしば IC が検出された.IC の多寡との間に一定した関係はみられないもののこれらの症例の3~6割に皮疹部に免疫グロブリンあるいは補体の沈着がみとめられた.血中 IC が高率に検出される SLE ,天疱瘡,結節性紅斑では臨床経過や他の検査データーとかなり相関して血中 IC も変動をみた.また皮膚筋炎・類天疱瘡・ DLE ・ジューリソグ疱疹状皮膚炎・ベーチェット病においては血小板凝集法では正常範囲内にとどまったが Clq 結合試験においては IC を検出し得た.検出し得る IC が方法によって異なる可能性があるが,いずれにしても血中 IC がいわゆる自己免疫疾患のみならず,その近縁疾患においても病因としてかなり重要な要素であることが想像された.

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© 1981 日本皮膚科学会
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