日本皮膚科学会雑誌
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91 巻, 5 号
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  • 井上 多栄子
    1981 年 91 巻 5 号 p. 535-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    1.粘液細胞の腺腔側表面を観察すると,膜面に 400Å 直径の小孔および 0.14μm 直径の開口部が存在する.この開口部に微細穎粒状分泌物,および球形分泌物が存在する.これは開口分泌 (exocytosis) を行っているのであろうと思われる.また微絨毛の先端が膨大したミクロアポクリン型,細胞膜面に細胞質突起を作るアポクリン型,および微絨毛の合一によって生じる集合型アポクリン突起を認めた. 2.細胞間分泌細管の腺腔への開口は各腺細胞の境界部が合一した部位に存在する. 3.細胞間分泌細管の膜面に250~700Å直径の小孔がある.これは透過電顕でまだとらえられていない小孔であり,水分・溶質の移動に関しているのではないかと思われる.
  • 辻 卓夫, Albert M. Kligman
    1981 年 91 巻 5 号 p. 543-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
    ジャーナル 認証あり
    62人の白人死体の被覆部(腹部と腋窩部)および露出部(前腕伸側と項部)皮膚について,その真皮中に存在する弾力線維が定量され,これらは年齢別に新生児・乳児グループ(生後10時間~3ヵ月),若者グループ(19~35歳),中年グループ(40~49歳)および老人グループ(50~80歳)に分けて比較された.すなわち真皮中の弾力線維は 1.3つの成人グループ間では被覆部および露出部とも,年齢グループ順に増加する傾向がみられた.一方,新生児・乳児グループでは成人の各グループよりもかなり高い値を示した 2.中年および老人グループの露出部では腹部よりもそれぞれ有意に高い値を示した. 3. 各グループごとに比べると4つの採取部のうちで最も高い値は腋窩部にみられた. 以上の結果から,真皮弾力線維の量は加齢,日光暴露およびその部の運動性に関係することが示唆される.
  • 梁瀬 恵子, 今村 貞夫
    1981 年 91 巻 5 号 p. 549-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    皮膚科領域における自己免疫疾患およびその近縁疾患に対して血小板凝集法と Clq 結合試験による血中 Immune Complex (以下IC)の測定を試みた.膠原病の中では全身性エリテマトーデス,進行性全身性硬化症に高値の IC が認められ,とりわけ全身性エリテマトーデスでは血中 C3 値は低下がみられた.水疱性疾患のうちでは天疱瘡に高値の IC がみとめられた.紅斑および血管炎のうちでは皮膚血管炎,結節性紅斑で高値の IC を認めたが,多形溶出性紅斑・薬疹などにもしばしば IC が検出された.IC の多寡との間に一定した関係はみられないもののこれらの症例の3~6割に皮疹部に免疫グロブリンあるいは補体の沈着がみとめられた.血中 IC が高率に検出される SLE ,天疱瘡,結節性紅斑では臨床経過や他の検査データーとかなり相関して血中 IC も変動をみた.また皮膚筋炎・類天疱瘡・ DLE ・ジューリソグ疱疹状皮膚炎・ベーチェット病においては血小板凝集法では正常範囲内にとどまったが Clq 結合試験においては IC を検出し得た.検出し得る IC が方法によって異なる可能性があるが,いずれにしても血中 IC がいわゆる自己免疫疾患のみならず,その近縁疾患においても病因としてかなり重要な要素であることが想像された.
  • 木藤 正人, 大山 勝郎, 阿部 重夫, 荒尾 龍喜
    1981 年 91 巻 5 号 p. 559-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    壊死性遊走性紅斑からダルカゴノーマ症候群と診断し得た1例について報告した.57歳主婦.昭和51年6月より某医で糖尿病の治療を行なっていた.昭和53年5月頃より,腰部に紅斑,小水疱,膿疱を生じた.皮疹は腰部・外陰部・大腿部に著明で,主としてやや隆起した紅斑あるいは環状紅斑よりなり,部位によっては融合し,巡圏状・蛇行状・地図状を呈している.これらの皮疹が周期性に出現・消褪をくり返した.皮膚病理組織所見は表皮上層に変化がみられる.すなわち有棘層上層の裂隙形成,孤立性角化細胞とその周囲に核が不明瞭で細胞質が好酸性に染色された細胞の出現である.以上の臨床症状,皮膚組織学的検索より壊死性遊走性紅斑と診断し,グルカゴノーマ症候群を疑い,血中の imraunoreactiveglucagon を測定して, 5,800pg/mlと高値を示した.モの他選択的腹腔動脈撮影,CT スキャンにて豚・肝に異常所見を認めたため,本院第1外科に転科しグルカゴノーマを摘除した.グルカゴノーマ症候群の文献的考察および自験例からみた発症機序について述べた.
  • 橋本 公二, 井上 佳子, 晒 千津子, 西岡 清
    1981 年 91 巻 5 号 p. 569-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    活動性天疱瘡患者8例,非活動性天疱瘡患者8例について,抑制性リソパ球能を検索した所,前者では8例中3例,後者では8例中1例において抑制能の著明な低下が認められた.さらに,これら著明な抑制能の低下を示した症例は治療開始後臨床症状の改善とともに抑制能も正常に復した.なお,このリンパ球抑制能の異常は,抑制性 T 細胞の異常に基づくものであった.
  • 長尾 洋, 小玉 肇, 荒川 謙三, 多田 譲治, 野原 望
    1981 年 91 巻 5 号 p. 575-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    高分子デキストラン硫酸局注法により正脂血家兎および高コレステロール血症家兎背部皮内に実験的黄色腫病変を作成し,黄色腫組織内でのコレステロール代謝を,とくに 14C-acetate を基質とするコレステロール合成およびコレステロールのエステル化という両面から検討した,その結果以下のように結論した. 1)実験的黄色腫組織でのコレステロール合成は健常組織より多かった.すなわち組織球および泡沫細胞にはコレステロール合成能があると考えた. 2)多量のコレステロールが蓄積している高コレステロール血症性黄色腫組織でのコレステロール合成は,コレステロール蓄積がほとんどない正脂血性黄色腫組織のそれと比べ著明に少なかった.すなわち黄色腫組織ではコンステロールが蓄積するに従いコレステロール合成は抑制されると考えた. 3)高コレステロール血症性黄色腫組織ではコレステロールエステルの脂肪酸分画への 14C-acetate の取り込みが顕著であった.すなわちコレステロール,とくにコレステロールエステルが多量に蓄積している黄色腫組織では局所で合成された脂肪酸とのエステル化が促進していると考えた. 4)上述のエステル化には局所で合成された脂肪酸のみならず血清由来の脂肪酸がいっそう関与していることが示唆された. 5)黄色腫に出現する泡沫細胞は scavenger cells (皮膚では組織球)に由来し, scavenger cells では LDLpathwayにおける肝外実質細胞と異なり, receptorを介することなくリポ蛋白を取り込むことにより過剰のコレステp-ルを蓄積すると考えられている.しかし上記の所見は, seavengceerlls 内のコレステロール代謝は LDLpathway における細胞内コレステロール代謝に類似することを示すものであると考えた.
  • 野崎 昭, 楠 俊雄, 原田 誠一, 増田 長雄
    1981 年 91 巻 5 号 p. 583-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    症例は56歳,女性,農業,千葉県在住.農作業中に相前後し右手関節部,左第3指を受傷し,同部位に難治性結節を形成.2ヶ月後,両手肢にほぼ同時に皮下結節が上行性に多発,検査ではスポロトリキン反応陽性.病巣組織中に asteroid body 遊離胞子をみとめ,培養で Sporothuix schenckii をえた,治療としてスポロトリキン注射,ヨードカリ内服により完治した,本邦においてて皮膚スポロトリコーシスはすでに稀な疾患ではないが,我々が調べえた限り,両上肢に同時発症した例はみあたらないのでここな報告した,
  • 森嶋 隆文, 斉藤 真理子, 花輪 滋
    1981 年 91 巻 5 号 p. 587-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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    尿中 5-SCD の測定は悪性黒色腫の病勢を知る上の biochemical marker になりうることが指摘されている.従来,尿中 5-SCD, DOPA, DA の測定にはFluorometry が専ら用いられてきたが,結果をうるには比較的長時間を要する.近年,カテコールアミン類の測定は HPLC をもってなされる趨勢にある.そこで,同一検体について HPLC と Fluorometry とをもって尿中 5-SCD, DOPA+DA を測定し,えられた成績についての相関性について検討を試みた.結果:(1)尿中 5-SCD, DOPA や DA の 測定は Fluorometry によっても HPLC によっても良好の成績がえられた. (2) HPLC による測定は Fluorometry に比して操作が簡便で,回収率も勝れており,また 5-SCDとDOPA とを同時に測定しうる点利点である.今後 HPLC を用いて尿中 5-SCD, DOPA を測定し,悪性黒色腫の病勢との相関を検討することにしたい.
  • 1981 年 91 巻 5 号 p. 591-
    発行日: 1981年
    公開日: 2014/08/21
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