抄録
昭和40年から59年までの20年間に,紅皮症の診断の下に入院した67症例を分析検討した.60歳~70歳に症例数のピークがみられ,男女比は5:1で,従来の報告と比較して高齢男子に偏る傾向がより大であった.年次別症例数に大きな変動はなかったが,原因別にみると最近では原因不明群,薬剤群がやや減少し,乾癬群とアトピー性皮膚炎群が増加する傾向がうかがわれた.入院中あるいは退院直後の死亡例は10例であり,死因は呼吸・循環器系にあった.検査データで特徴的な項目は,白血球増多,貧血,好酸球増多,IgE上昇などであったが,乾癬性紅皮症では異常所見を示す症例が少なかった.紅皮症の発症機序,高齢者に好発する理由は不明であるが,以上の統計的観察から,suppressor T cellの減少あるいは機能異常による可能性を仮定してみた.