片大腿切断を有するアスリートは,膝継手と呼ばれる機械式の膝関節および競技用義足を使用する.従って片大腿切断を有するアスリートは健常脚および義足脚という下肢の左右非対称性を有し,特有の走速度獲得メカニズムが報告されている.走速度に代表される競技パフォーマンス改善のための有用な戦略のひとつとして,チャンピオン技術の適用が挙げられる.そこで本研究はdeterministic modelを用いることで,片大腿切断を有するパラリンピックチャンピオンの走速度獲得メカニズムを明らかとすることを目的とした.片大腿切断を有するパラリンピックチャンピオン1名および同日本人アスリート6名を対象とし,最大努力によるスプリント走を行わせた.走速度を決定するdeterministic modelに含まれる各パラメータについてパラリンピックチャンピオンと日本人アスリートの比較を行った.その結果,パラリンピックチャンピオンは健側における身体質量あたりの面反力鉛直成分を抑えることで健側の滞空時間を短くし,高い走速度を獲得していることが明らかとなった.