デジタルゲーム学研究
Online ISSN : 2434-4052
Print ISSN : 1882-0913
注意すべき統計的検定の誤用と多重比較の問題
入門的解説
小川 充洋
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2026 年 18 巻 2 号 p. 23-30

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抄録
統計的仮説検定は多くの研究分野で広く用いられているが、その解釈を誤ると不適切な結論に導かれる危険が ある。本稿では、特に頻出する二つの問題に焦点を当てる。すなわち、「有意差がない=効果がない」との誤解と、多重検定に伴う第一種過誤の増加である。対応のある t 検定を例に、検定の非対称性や p 値の性質、非有意結果を解釈する際の信頼区間の有用性を解説する。また、多重比較の補正法としてボンフェローニ法を紹介し、Holm 法や Benjamini–Hochberg 法(FDR 制御)との比較にも簡単に触れる。さらに、主成分分析などの次元削減手法によって比較数を減らす方法についても言及する。あわせて、探索的解析と確証的解析の区別、研究途上における発表の意義、phackingといった研究倫理上の注意点についても論じる。本稿の目的は、研究者がこれらの問題への理解を深め、統計的な誤用を回避するための教育的基盤を提供することである。特に応用的・学際的な分野の研究者にとって、本稿が研究の統計的厳密性を高め、信頼性と再現性の高い学術的成果の発信に資することを期待する。
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