日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集
Online ISSN : 2758-6480
第16回 年次大会
会議情報

口頭セッション 11 : 教育現場
いじめ問題の多重ゲームモデル化
―合理的行為とストレス蓄積に着目して―
*藤川 大祐
著者情報
会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 183-188

詳細
抄録
本研究は、学校におけるいじめ問題を、単一の行為主体や単一の合理性によって説明される現象としてではなく、複数の主体が異なる評価基準と時間軸のもとで行為を選択する多重ゲーム構造のもとで生じる動態的現象として捉え直すことを目的とする。従来のいじめ研究では、心理的要因、集団規範、制度的条件等が個別に論じられてきたが、教員が合理的に判断・行為しているにもかかわらず、対応が停滞し固定化していく過程については十分に理論化されてこなかった。本研究では、多重ゲーム構造の中から教員の意思決定に着目し、ストレス、将来期待、評価の割引といった状態変数を導入した動態モデルを構築し、シミュレーション分析を行った。その結果、短期的に合理的な行為の累積によって、介入回避が安定化するロックイン状態が内生的に形成されうること、また複数の制度的条件が同時に作用した場合には、評価構造の変化を通じて行為選択が転換しうることが示された。これらの知見は、いじめ問題の理解にとどまらず、合理的行為と構造的帰結の関係を扱うゲーム研究に対しても理論的含意をもつ。
著者関連情報
© 2026 日本デジタルゲーム学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top