抄録
本研究は、いじめ防止対策推進法に基づいた学校のいじめ対応をゲームとしてモデル化し、適切な対応を促す社会実装を目指すものである。いじめ対応では、対応に不備があると被害者の信頼を失い、その後の改善が困難となる。被害者の苦痛はすぐに軽減されることはなく、新たなミスがなければ時間とともに徐々に和らぐと考えられている。この構造は、学校を唯一のプレイヤーとする繰り返しゲームとして捉えることができる。このゲームでは、学校が対応に失敗すると大きな損失(苦痛の増大、信頼の喪失)が発生し、その損失は短期間で回復せず、新たなミスがなければ時間と共に減少するという特徴を持つ。簡易シミュレーションの結果、学校の組織風土が良い場合(m=0.9)にはゴール達成率が96.2%である一方、組織風土が悪い場合(m=0.3)では1.6%にとどまり、組織風土が適切な対応に不可欠であることが示唆された。本モデルは、教員向けの研修教材としての社会実装を想定しており、教員のいじめ対応への理解を深めることに貢献するだろう。