道南医学会ジャーナル
Online ISSN : 2433-667X
当院におけるがん遺伝子パネル検査の実績と展望
− がんゲノムから遺伝カウンセリングまで −
池田 健がんゲノム チーム
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2025 年 8 巻 1 号 p. 22-26

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抄録

2019年9月17日、当院第一例目の保険適用下がん遺伝子パネル検査(包括的がんゲノムプロファイリング、CGPと略す)を実施した。当初より多職腫によるがんゲノムチームを立ち上げ、そのチーム力を背景に、2024年8月22日まで194例のCGPを経験した。 【実績】2024年5月31日までに結果報告の終了した175例の実績を示す。検査別では、FoundationOneCDx(F-one)が77.1%と最も多く、F-one liquid12.0%、NCCオンコパネル6.9%、F-one からF-one liquidへの移行2.9%、Guardant360が1.1%の順であった。依頼元は当院70.2%、他医療機関が29.8%を占めた。臓器別では、腸23.0%、前立腺16.9%、胆道11.8%、膵および乳房9.0%の順で、全国データと比較して前立腺が多く,胆道・膵が少ない傾向を示した。エキスパートパネルで提示された治療薬が実際に投与された症例は13.6%であり、全国データと大差はなかった。検体提出からエキスパートパネル開催までの平均日数は29.8日であった。9.2%の症例において、CGPで判明した二次的所見に対する確認検査・遺伝カウンセリングを推奨した。 【展望】当院は、CGPから遺伝カウンセリングに至るまで、道南医療圏ゲノム医療の普及に幅広く貢献することを目指している。最新のデータを加え、今後に向けた展望を報告したい。

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