抄録
本研究では,歯髄側象牙質をMTYA・G・Hで処理したときの接着強さを,唇側象牙質と比較しながら調べた。
新鮮牛抜去歯の唇側,あるいは歯髄側象牙質表面を被着体として用い,40%リン酸,10%クエン酸,または0.5MのEDTA水溶液でエッチングし,37°C水中に1日浸漬後の引張接着強さを測定した。
各エッチング剤間で,唇側象牙質と歯髄側象牙質とに対する接着強さを比較したところ,有意な差はみられなかった。また,歯髄側象牙質をEDTAエッチングした場合に,平均値で約12MPaと最も高い値が得られた。
以上の結果より,深部象牙質に対して,MTYA・G・H処理を施すと良好な接着強さが得られることが判明した。