抄録
優れた希土類磁石を歯科の義歯など歯科補綴物の維持装置として応用する試みが多くなされるようになった。しかし希土類磁石の耐食性が劣ることや,維持力がそのままではやや劣ることが問題となり,多くの対策が考えられたが十分有効な解決には至らなかった。そこで,カップ型のヨークにSm-Co磁石を入れ.閉磁路することで吸引力を高め,さらにディスク型のヨークで蓋をし,境界部をレーザー溶接することで磁石を完全に密封した磁性アタッチメントを考え設計試作した。Sm-Co磁石としてSmCo5を,ヨークには耐食性に優れた磁性ステンレス鋼447J1を用いた。有限要素法で各部の最適寸法を計算し,これに基づき磁性アタッチメントの試作を行った。試作された磁性アタッチメントは外径4.4mm,高さ2.1mm円盤状で,味引力は平均341gで設計値を良く満足した。