抄録
辺縁封鎖性評価のための新しい試験装置を開発した.この試験装置は熱サイクル負荷のための流路と漏洩検出のための流路からなっており,両流路は被験修復歯で隔絶される.熱サイクル負荷系にはトレーサーとして使用したローダミンBの冷熱水溶液を循環させておき,6つの電磁弁の開閉で試験片に熱サイクルを与えられる.試験片に熱サイクルを与えながら,検出系を循環する蒸留水中に漏洩してくるトレーサー量を定期的に分光光度計で測定した.銀合金インレー修復,アマルガムあるいはグラスアイオノマー充填修復について漏洩データを実験式で解析したところ,漏洩挙動をかなりよく説明でき,熱サイクルに対する完全封鎖保持期間として辺縁封鎖性を推定評価できた.