抄録
MDPがりん脂質リポソームとどのように相互作用するかを見出すために,DPPC/MDPリポソーム及びジラウロイルフォスファチジルエタノールアミン(DLEA)/コレステロール(CS)/MDPリポソーム両系のNMRケミカルシフトの変化をpH7.0で研究した.この結果DPPC系でリポソームの流動化を伴ってMDPの1H遮蔽が見られた.DLEA/CS系でMDPの1Hシグナルは飽和して観測できなかった.一般にイオン化する化合物はりん脂質2重層より成る生体膜を透過しにくい.本研究から,pH7.0でイオン化したMDPのリポソーム相互作用が大きいことが明らかになった.これはMDP分子中のデカメチレングループとりん脂質のアシル鎖との疎水性相互作用に起因すると推察された.