流し込み型の床用レジンは,加熱重合型の床用レジンに比べて機械的強度が20∼30%低下するといわれている。この理由の一つに,残留モノマー量が加熱重合型のレジンの場合の数倍になっていることがあげられる。
本研究では,現在比較的よく使用されている流し込み型床用レジン4種類,筆積法で使用される常温重合型レジン1種類について,それぞれ重合後,重合体中に含まれる残留モノマー量をガスクロマトグラフを用いて定量し,残留モノマーと動的粘弾性の関係を調べた。
さらに加熱重合型床用レジンについても同様の試験を行ない,流し込み型床用レジンの挙動と比較した。その結果,流し込み型床用レジン,常温重合型レジンでは,重合後の時間経過に伴なって残留モノマー量が減少し,それにつれて貯蔵弾性率E'あるいはガラス転移温度Tgがわずかに上昇する傾向がみられた。しかしながらそれらの上昇率は小さく,流し込み型床用レジンあるいは常温重合型レジンを一度重合し,その後あらためて加熱するという操作を加えた場合ほどの上昇はみられなかった。