抄録
可視光線重合型のBis-GMA-HEMA系のレジンモノマーを調製し,還元剤や遅延剤の添加量を変化させて重合度および重合速度を調節した。重合度は赤外吸光分析器を用いて残留C=C量を測定することにより算出し,重合速度は,照射時間を順次変化させた試料の重合度からその傾向を推測した。一方,EDTAおよびGlumaで処理された象牙質窩洞に,上記のレジンモノマーにガラスフィラーを75wt%混入して得られたコンポジットレジンを充填し,硬化後,窩壁適合性を調べた。
この結果,レジンの重合速度が大きくなるに従い,窩壁適合性が有意に劣化することがわかり,重合中のレジンの粘弾性,とりわけレジン表面から窩洞内部への充填剤の流れが重合収縮を補償することが示唆された。