Dental Materials Journal
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6 巻, 1 号
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  • 第1報 腐食産物の表面分析
    松田 浩一, 荊木 裕司, 坂井 秀行, 宇野 豊, 下河辺 宏功, 大川 昭治, 近藤 清一郎, 太田 守
    1987 年 6 巻 1 号 p. 1-8,119
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/01/07
    ジャーナル フリー
    金銀パラジウム合金は,我が国においてはインレー,クラウン,ブリッジ等広く臨床に使用されている。金銀パラジウム合金は,我が国においてはインレー,クラウン,ブリッジ等広く臨床に使用されている。
    この合金は,金,白金族含有量が十分でないので,耐食性が問題になる。
    そこで今回,市販金銀パラジウムの食塩水中での腐食挙動を,電気化学的手法と光電子分光法と反射電子回折法を用いて分析し,次の結果を得た。
    1) この研究に用いた合金は,-100mV以下の電位においては,腐食されない。
    2)電位が0mVから300mVまでの間ではこの合金中のAg, Cuが酸化される。400mVと500mVにおいては,腐食表面にAgClとCu(OH)2が見られる。そして, AgClの量は, Cu(OH)2に比べて多い。
    3)この合金中のPdは,400mVと500mVではPdO2に酸化される。
    4) この合金中のAuは,500mVまでは,酸化されない。
  • 下村 博
    1987 年 6 巻 1 号 p. 9-27,119
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    可視光線重合型各種コンポジットレジン並びに同照射器の性能に関して,光化学的見地からレーザーを用いて実験を行い,以下のような結果を得た。
    1)市販照射器の照射光スペクトル測定を行うと共に,各種波長のレーザーを用いた照射実験により,レジンの至適重合波長域の検索を行った結果,市販照射器の中には,肉眼的に照射光が非常にまぶしくとも,レジンの重合に関与しない不必要な光を発するものがあることが判明した。
    2) アルゴンイオンレーザーで硬化させたレジンの内部硬さを測定した結果,至適架橋輝度の存在が確認され,照射光の輝度の増加が必ずしも硬さの増加につながらないことが判明した。
    3) レジンの重合度をレーザーラマンスペクトルを用いて測定する方法を確立した。市販のコンポジットレジンの重合度は,予想に反して低いことが判明した。また,顕微ラマンスペクトルについても検討を加えた。
  • 伊藤 和雄, 和久本 貞雄
    1987 年 6 巻 1 号 p. 28-31,120
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    35%HEMA水溶液によって数秒間歯質を前処理することが象牙質とレジン材料の適合性にいかなる影響を及ぼすかを検討するために,象牙質円柱窩洞内でのwall-to-wall contraction gapを比較計測した。本研究で用いた5種類の市販bonding agentは,1種の例外(Pyrofil Light Bond)を除き,35%HEMA水溶液によって瞬間的に歯面を前処理することにより,辺縁適合性は有意に改善した。したがって,市販bonding agentを適用するに先立ち,窩壁をHEMAにより前処理することが推奨される。
  • 加藤 裕正
    1987 年 6 巻 1 号 p. 32-37,120
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    可視光線重合型のBis-GMA-HEMA系のレジンモノマーを調製し,還元剤や遅延剤の添加量を変化させて重合度および重合速度を調節した。重合度は赤外吸光分析器を用いて残留C=C量を測定することにより算出し,重合速度は,照射時間を順次変化させた試料の重合度からその傾向を推測した。一方,EDTAおよびGlumaで処理された象牙質窩洞に,上記のレジンモノマーにガラスフィラーを75wt%混入して得られたコンポジットレジンを充填し,硬化後,窩壁適合性を調べた。
    この結果,レジンの重合速度が大きくなるに従い,窩壁適合性が有意に劣化することがわかり,重合中のレジンの粘弾性,とりわけレジン表面から窩洞内部への充填剤の流れが重合収縮を補償することが示唆された。
  • Triaminingsih P. SITI, 杉崎 順平, 堀江 恭一, 中島 章富, 細田 裕康
    1987 年 6 巻 1 号 p. 38-45,120
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    市販の化学重合型コンポジットレジン3種および光重合型コンポジットレジン5種の曲げ強さを経時的に測定し,高銅アマルガムのそれと比較した。またフィラー配合形態と曲げ強さとの関連性を検討するために,各種コンポジットレジン表面の反射電子像をSEM観察した。さらに化学重合型レジンを無気泡練和した場合の曲げ強さを従来の手練和の場合と比較すると共に,同種レジンを追加充填した場合の接合部における曲げ接着強さを測定した。その結果,高密度充填型コンポジットレジンの曲げ強さはマクロフィラー型あるいはMFR型レジンのそれに比べ著しく高く,アマルガムに匹敵していた。また化学重合型レジンを無気泡練和した場合,曲げ強さが若干上昇した。さらに同種レジンを追加充填した際の接合部の曲げ接着強さは本来の曲げ強さの値に比べて低下しており,特に高密度充填型レジンにおいては,本来の値の約1/2の著しく低い値を示していた。
  • 入江 正郎, 中井 宏之
    1987 年 6 巻 1 号 p. 46-53,121
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    グラスアイオノマーセメント6種と対照としてコンポジットレジン2種を使用し,象牙質窩洞で硬化時に生じる辺縁ギャップ,対象牙質せん断接着強さを測定した。両充填材共に,ギャップの小ささと接着強さの大きさにっいて24時間値の方が30分値よりすぐれていた。辺縁ギャップ及びせん断接着強さの24時間値については,グラスアイオノマーセメントとコンポジットレジンとの間に差が見られなかった。グラスアイオノマーセメントの1種を使用して粉液比を変化させた場合,粉末量の増加に伴い接着強さ及び圧縮強さは増加し,辺縁ギャップは減少した。これらの間には明らかな関連性が見られた。
  • 久恒 邦博, 有働 公一, 中川 雅晴, 安田 克廣
    1987 年 6 巻 1 号 p. 54-63,121
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    三種類の市販陶材焼付用合金において,1000℃から室温までの冷却中に起る相変化を電気抵抗測定,X線回折実験,EPMA実験により検討した。それぞれに異なった相変化が検出された。高カラット金合金ではPt2PdSnのLl2規則相が粒界に,パラジウム基合金ではPd3Inを基本とする面心正方晶が粒内に生成した。低カラット金合金の場合には粒内および粒界において典型的な二相分離反応を呈した。各合金における冷却中の反応は以下の通りである。
    高カラット金合金
    α0(fcc)→α(fcc)+β(Ll2)
    低カラット金合金
    α0(fcc)→α1(fcc)+α2(fcc)
    パラジウム基合金
    α0(fcc)→α(fcc)+β(fct)
  • 清水 明彦, 宇井 崇, 川上 昌宏
    1987 年 6 巻 1 号 p. 64-69,121
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    接着性レジンセメントであるパナビアを,アマルガム修復の裏装材として用いた場合,辺縁封鎖性にどのような効果を及ぼすかについて調べた。被験歯としてヒト抜去歯48本を用い,6つのグループに分けた。1つのグループは処理なしの対照群とし,残りのグループはそれぞれの処理を行った後,アマルガムを充填した。100回の温度変化を与えた後,色素浸透試験を行い辺縁封鎖性を調べた。
    その結果,アマルガム充填に先立ち窩壁歯質にパナビアを塗布することにより,辺縁封鎖性が向上した。パナビアとライニングセメントの裏層を併用することにより,さらに良好な封鎖性が得られた。また,窩壁歯質をサホライドで処理しライニングセメントを置いた後,パナビアを塗布しアマルガムを充填した場合,最も優れた辺縁封鎖性が得られた。本法を臨床で応用することにより,今までより優れたアマルガム修復が可能となるであろう。
  • 遠藤 一彦, 平野 進, 平澤 忠
    1987 年 6 巻 1 号 p. 70-82,122
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    矩形波電流分極法を用いてCu, MoおよびMnを含有するNi-Cr合金の分極抵抗を37°リンゲル液中で測定し,耐食性を評価した。その結果,いずれの元素もNi-Cr合金の耐食性を向上させることが明らかとなった。腐食電位およびアノード分極曲線の測定結果から, Cu, MoはNi-Cr合金のアノード反応を抑制して安定な不動態に寄与するのに対し,Mnはカソード反応を抑制することが明らかとなった。また,CuおよびMnはNi-Cr合金の耐孔食性を向上させるが, Mnにはその作用がないことが明らかとなった。
    分極抵抗の測定結果と重量減少量から求めた腐食速度の間には良い相関が得られた。Ni-Cr合金では,分極抵抗から腐食速度に変換する定数Kの値は25mVとなった。
  • 福島 忠男, 堀部 隆
    1987 年 6 巻 1 号 p. 83-89,121
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    レジンの歯科用合金への接着性を改善するために側鎖長の異なるSuccinoxy alkylene methacrylateを4種合成し,合金への接着性と化学構造との関係を検討した。すなわち,合成モノマーから調整した4種のBonding agentをサンドペーパー(#600番)で最終研磨した4種の歯科用合金(gold(Type IV), Au-Ag-Pd, Ni-Cr, Co-Cr合金)に薄く塗布し,その上から即重レジンを填入して作製した接着試料について,37°Cの恒温槽に7日間放置後(Dry),および37°Cの水中に7日間浸漬後(Wet),剪断接着試験より接着力を求めた。その結果,non-precious合金へのレジンの接着性はBonding agentの使用により著しく向上したが,precious合金の場合はBonding agentの効果があまり認められなかった。Dryでのgoldとnonprecious合金およびWetでのprecious合金への接着力と化学構造には相関が認められなかったが,その他ではやや側鎖長の短いものが優れた接着性を示した。
  • (第1報)線爆溶射法の応用
    寺田 善博, 姫野 孝枝, 平安 亮造
    1987 年 6 巻 1 号 p. 90-95,120
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    金合金およびニッケルクロム合金(金合金を線爆溶射した試料と溶射しない試料)を用いて,オペーク陶材を焼成した試料の色調を比較した。
    オペーク陶材を焼成することによって下地金属の色を効果的に遮断するという見地から,金合金および金合金を溶射したニッケルクロム合金は,溶射をしていないニッケルクロム合金より下地金属として優れていた。金合金と溶射合金の色の類似性についても明かである。結論として,金合金とニッケルクロム合金の長所を合わせ持つ線爆溶射法の応用は陶材焼付金属冠の優れた下地金属を作るために非常に有効であるごとが明かである。
  • Yosmo KOZONO
    1987 年 6 巻 1 号 p. 96-104
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/01/07
    ジャーナル フリー
    This is a review of the articles published in the Journal of the Japanese Society for Dental Materials and Devices (J J Dent Mat), written in Japanese with English abstract, and in the Dental Materials Journal (Dent Mater J), written in English, during the period from April, 1985 to March, 1986.
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