抄録
14C-Sch-19927をラットに単回経口あるいは静脈内投与し,吸収,分布,代謝および排泄について検討した.
1.30mg/kg経口投与したときの,血漿中放射能濃度の最高値は,投与後1時間にみられ(雄性6.30μg/ml,雌性7.84μg/ml(Sch-19927換算)),Sch-19927の吸収が速いことを示していた.血漿中濃度の8時間までの半減期は,それぞれ2.59,3.22時間であった.雄性ラットに10mg/kgで経口投与したときの血漿中放射能濃度の推移は,30mg/kg投与とほぼ同様であった.結紮法で,Sch-19927は胃からほとんど吸収されないが,十二指腸,回腸,空腸,直腸からは,注入後30分までにいずれも約30%が吸収された.血漿中放射能の約90%はSch-19927のグルクロン酸抱合体(M3)であり,未変化体は1~2%に過ぎなかった.0.1~10μg/mlにおけるin vitroの血漿蛋白結合率は,いずれも約60%であったが,in vivoでは投与後1時間から6時間まで約23%を示した.10mg/kg静脈内投与したときの血漿中放射能濃度の半減期は,雄性,雌性ともに約1.2時間(2分~4時間)であり,性差はみられなかった.静脈内投与後2分の血漿では,未変化体が82%,M3が6%であったが,15分では未変化体が31%,M3が51%となった.
2.30mg/kg経口投与で,雄性,雌性とも腎,肝,肺に高い放射能が認められた.組織からの消失は速く,残留性はみられなかった.精巣からの消失は比較的遅く,投与後120時間においても最高値の1/5の濃度が認められたが,濃度は低かった.全身ARGも同様の分布を示していた.
3.30mg/kg経口投与では,雄性,雌性とも尿および糞中に投与後120時間までに約50%の放射能が排泄された.胆汁中排泄率は,投与後48時間までに雄性では42%,雌性では57%であった.胆汁中放射能の15%は再吸収され,腸肝循環が認められた.尿中放射能の約80%,胆汁中放射能の約40%はM3であった.