2025 年 9 巻 s2 号 p. s111-s114
自然史資料(昆虫標本等)は、生物多様性研究の基盤となる重要な資産であるが、財源難からその維持は危機的状況にある。本研究はブロックチェーンを用い、標本のデジタル化とともに採集・移動・研究利用など標本自体の来歴をNFTで可視化する。支援者が寄付に紐づくNFTを取得する設計とし、収益を大学等に還元する資金循環を構築する。
この事例として、九州大学の昆虫標本NFT化では、クラウドファンディングを通じて歴史的文脈への価値も示唆され、収益を大学へ寄付するサイクルを実証した。現在はこの知見を応用し、自然保護団体と連携し、団体が記録してきた希少生物のデジタルデータを価値化する挑戦も開始した。本発表は、これらの実践から見えてきた課題と可能性を共有し、デジタルアーカイブの新たなあり方を模索するものである。