2019 年 29 巻 p. 61-66
大学は「多面的な選抜」等に基づく入試改革が求められている。かつて政策の側から「『多面的な評価』の切り札として活用が取り出された高校調査書」(木村, 2007)は,大学入学後の成績を予測できるのか。この問いに答えるには選抜効果を無視できない。そこでいくつかの仮定を設け,入試改革が求められる理由を逆手にとって,選抜性が低いと目されている指定校推薦入試に着目した事例分析を行った。その結果,高校調査書の評定平均値は1年春学期GPA に統計的に有意な影響を及ぼすことが分かった。今後,様々な大学の指定校推薦入試データを活用した事例分析の蓄積が求められる。