大学入試研究ジャーナル
Online ISSN : 2187-6762
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29 巻
選択された号の論文の46件中1~46を表示しています
  • 西郡 大, 園田 泰正, 兒玉 浩明
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 1-6
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本稿では,一般入試における「主体性等」評価について「書類審査」に注目し,その評価の考え方と効率的な評価に向けた環境構築について報告する。まず,評価の考え方として,書類審査は選考の補助的な位置づけとし,合格ボーダー層を対象とした「段階評価」について提案した。これにより,規模の大きい受験者集団であっても,対象となる受験者数を絞ることが可能となり,適正な規模で書類審査ができるようになる。また,インターネット出願の普及に伴う選考書類の電子化によって新たな評価の在り方が期待できるようになることから,書類審査の新たな評価環境の構築に向けて民間の教育機関と共同で開発した「評価支援システム」の基本的な機能と活用イメージおよび今後の展望について示した。

  • ――一般選抜における調査書活用の可能性を中心に――
    山路 浩夫, 湯山 加奈子
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 7-14
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    高大接続改革のもと,大学入学者選抜における,「学力の3要素」を踏まえた「多面的・総合的」評価の推進に向け,大学入学前の多様な学習・活動の評価を充実させることが必要となっている。特に,受験者数の多い一般選抜において,「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を含めて,多面的・総合的評価を行うことは,最も難しい課題のひとつである。本研究では,近年の本学における追跡調査の成果を踏まえつつ,入学者が出願時に提出した調査書と大学入学後に測定された各人の特性等の関係を分析し,多面的・総合的評価における提出書類活用の可能性を明らかにした。

  • 安永 卓生, 藤江 美奈, 山本 鉱, 播磨 良輔, 山下 修充
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 15-22
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    学力の3要素が定義され,大学入学試験でも総合評価をおこなうことが求められる。今回,九州工業大学では,総合型選抜の導入に向け,外部試験(PROG1))および本学のカリキュラム修得を示すGPAの2つの評価指標を基に,入試区分毎の学生の学修状況と従来の入試区分(4種)との相関の追跡調査を実施した。その結果,本学(工学系2学部,理数科目に重点をおく中堅難易度の大学)入学試験後の学部・学科間の評価指標の相違が明らかとなった。特に,推薦入試(学部・学科毎に異なる)および前期入試(筆記試験のみ)間の違いが大きい。この結果と他大学の実施例を基に,平成30年度(平成31年度入試)実施のAO入試(総合型選抜)及び他の入試制度へ展開できる入学選抜方法を検討した。

  • 竹内 聖彦
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 23-28
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    都市部中規模私立大学教育学部における教員採用試験合格状況と入試区分との関連性についての研究報告である。一般に推薦入学者と一般入学者とには基礎学力,勉学意欲,将来像等に差があると言われている。教員養成学部はその目的が明確であり,入学者の卒業後の将来像が均一で,その目標である教員採用試験の合否結果を学生の質の指標とみなすことができる。このことから入学区分に依る差異が採用試験合格状況に反映されると考えられたが,採用試験合格状況は入試区分との関連よりもむしろ大学での学業成績との関連の大きさを示唆する結果となった。

  • ――学習意欲維持への試み――
    大塚 智子, 関 安孝, 喜村 仁詞, 武内 世生
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 29-35
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    高知大学では,インターネットを介した入学前教育システム「高知大学入学前moodle」を導入し,医学部医学科AO入試Ⅰ入学予定者において活用した。これにより,ディスカッション,課題提示・提出,自己評価などがインターネット上で可能となった。その結果,教員と入学予定者間及び入学予定者同士の双方向の交流が実現し,他者の存在により学習意欲を維持する事ができた。入学前moodleによる入学前教育が,入学後の学習への円滑な移行に功を成したと考える。

  • ――琉球大学を事例として――
    山田 美都雄
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 36-41
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究では,今般の高大接続改革において掲げられる「学力の3要素」と学士課程教育改革における「学士力」概念との概念レベルでの共通性,連関性を確認したうえで,入学者選抜と入学後の「学士力」指標との関連性について,琉球大学を事例に,入試データ及び学生調査データを用いた分析により検証を行った。その結果,工学部においてのみ,一般入試群に比して推薦・AO入試群の卒業時点での「学士力」指標得点が有意に高い傾向があることが確認された。さらに,工学部のみを対象とする規定要因分析結果からは,「推薦入試ダミー」と「専門教育満足度」が有意な正の規定力を有していることが判明した。これらのことから,入学者選抜は大学教育の影響性を考慮したうえでも「学士力」指標に影響を及ぼす可能性が示唆された。

  • ――入学前予約型奨学金を中心に――
    吉田 章人, 並川 努, 坂本 信
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 42-47
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    新潟大学では,2011年度(入学年度,以下同じ)から入学前予約型奨学金を実施している。本稿では,本学の入学前予約型奨学金である「輝け未来!!新潟大学入学応援奨学金」を対象として,まずその内容と現状を把握した。その結果,本奨学金では,2017年度までは受給者数が募集人数に達しておらず,その採用枠を十分に活かしきれていない状況であったこと,出願資格の見直しによって2018年度は申請者数・受給決定者数の増加が見られたことを確認した。その上で,今後も経済的支援の必要な受験生ができるだけ多く利用できるようにするためには,入試広報において本奨学金の内容を周知させていく必要があることから,他大学の事例も参照しつつ,本学の奨学金制度の特徴について検討した。

  • 平井 佑樹, 高野 嘉寿彦, 小山 茂喜
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 48-54
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    信州大学では,共通教育科目のうち基礎科学科目(数学,物理学,化学,生物学,地学)を履修要件として課している学部・学科等の新入生を対象として,平成21年度より4月初旬にアンケート調査を実施している。そのアンケートは,高等学校における数学および理科に関する科目の履修状況,また,履修した科目についてはその内容の理解度を質問する項目で構成されている。本稿では,平成21年度から平成28年度の調査結果について報告し,各科目の履修率・理解度の推移や入試情報との関連について考察した。その結果,本アンケートで回答された理解度と大学入試センター試験得点について,正の相関関係がある可能性等を明らかにした。

  • ――大学新入生を対象とする定点調査――
    渡辺 哲司, 島田 康行
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 55-60
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    「言語活動の充実」を標榜する現行の学習指導要領(CS)によって高校までの「書く」学習の機会が増えたか否かを探るため,国内7大学の2013-2018年の新入生2,862人を対象に中学・高校時代の「書く」ことに関する学習経験を質問紙で尋ねた。得られた回答を,現行のCS下で学んだ(高校卒業年が2016年以降の)〈現CS〉群と,一つ前のCS下で学んだ(同2015年以前の)〈前CS〉群とに分けて比較した結果,「書く」学習の機会は〈現CS〉群の方でより多かった。また〈前CS〉群には見られた文・理両系の差(文系>理系)が〈現CS〉群には見られなかった。さらに,そのような変化と特に強い共変関係にあると推察される教科は,高校の外国語・国語・特別活動であった。

  • ――指定校推薦入試の事例分析――
    日下田 岳史, 福島 真司
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 61-66
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    大学は「多面的な選抜」等に基づく入試改革が求められている。かつて政策の側から「『多面的な評価』の切り札として活用が取り出された高校調査書」(木村, 2007)は,大学入学後の成績を予測できるのか。この問いに答えるには選抜効果を無視できない。そこでいくつかの仮定を設け,入試改革が求められる理由を逆手にとって,選抜性が低いと目されている指定校推薦入試に着目した事例分析を行った。その結果,高校調査書の評定平均値は1年春学期GPA に統計的に有意な影響を及ぼすことが分かった。今後,様々な大学の指定校推薦入試データを活用した事例分析の蓄積が求められる。

  • 吉村 宰
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 67-72
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    高大接続システム改革会議「最終報告」(2016年3月31日)を受け,一般選抜(一般入試)でどのように調査書を利用するかが本学の課題となっている。我々は,調査書の(1)学習成績概評,(2)特別活動の記録,(3)指導上参考となる諸事項に着目し,これらの事項の内容の特徴や入学後の成績との関連の検討,調査書記載内容に関する高校へのヒアリングを行った。本稿ではその結果をふまえた本学での一般選抜での調査書の活用方法の例を報告する。

  • 永野 拓矢, 橘 春菜, 石井 秀宗
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 73--78
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    2021(平成33)年度の大学入学者選抜より,各選抜において「学力の3要素」を多面的・総合的に評価する制度に変更される。その3要素のうち大学入学共通テストで測れない「主体性等」については,国はその評価を各大学の個別学力検査等で行うことを求めているが,「主体性等」をより積極的に評価するため高校調査書等の積極的な活用を促している。本稿は改革を機に改訂される調査書に注目し,「主体性等」評価に関する諸課題について,A大学の一般入試を参考に分析を行った。その結果,高校による評定平均値の差や「主体性等」評価に繋がる記載事項の量的な相違など,改革を前にした高校側の課題が明らかになった。

  • 林 寛子
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 79-84
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    AO入試同様、高校調査書を用いた加点評価を一般入試で行った場合,何を評価することになるのだろうか。大学入試における格差の問題が指摘される中で,主体性・協調性の評価の在り方を検討することが本稿の目的である。本報告の分析結果からは,高校調査書を用いて資格取得や活動経験を評価する入試を行った場合,特定の生徒に有利にはたらくとは言い難い。高校調査書の内容は,高校の教育,進学指導の効果が含まれていると予測できるが,高校調査書活用の問題の一つである大学入試における格差の問題について,可能な限り現状を把握することは,重要な課題である。

  • ――パフォーマンス課題「未来の時間割」の実践とコミュニケーション力の評価の分析――
    中切 正人, 橋本 康弘, 宮下 伊吉, 大久保 貢
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 85-90
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究は,文系のパフォーマンス評価を国立大学のAO・推薦入試に活用して汎用的な選抜・評価方法の確立を目指す実証的研究である。高校生のグループワークによるパフォーマンス課題「2050年の未来の時間割」を導入した授業を開発し,そこで測定される情報収集力・高次の思考力・コミュニケーション力の構成要素とその評価規準を示した。そして,授業中の高校生の活動がコミュニケーション力の評価基準(ルーブリックで提示)に基づいて評価された。授業後,評価者により測定方法とルーブリックが評価され,報告者が評価結果を分析したところ,ある程度の信頼性と妥当性が検証された構成要素と,再検討が必要な構成要素が明らかになった。

  • ――合否決定における大学入試センター試験の重みについて――
    石上 正敏, 倉元 直樹
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 91-98
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    大学入試センター試験は,その機能の評価が十分に行われないまま新共通テストに移行されようとしている。本研究では個別試験との配点比および相関関係,合否入替り率という3つの観点から国公立大学におけるセンター試験の選抜機能に対する定量的評価を試みた。その結果,センター試験重視の大学・学部学科系統が多いことが分かった。また東北大学においては,個別試験がセンター試験の選抜機能を補完する役割を担っていること,配点比を変更しても大きな合否の入替わりが起こらないことが確認された。一般に,各大学の選抜性の程度にかかわらず,大学入試センター試験の成績がその合否決定に与える影響の大きさは想定されている以上の可能性がある。

  • ――センター試験及び個別学力試験の遂行状況との比較から――
    宮本 友弘, 田中 光晴, 庄司 強
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 99-104
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,新共通テストにおいて出題が予定される,国語の新しい記述式問題(「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」のイメージ例) が測定する資質・能力について実証的に検討することであった。従来のセンター試験,国立大学の個別学力試験を比較対象にして,1,130 名の高校生に調査を実施した。遂行状況の分析から,イメージ例は,他の問題とは異なる資質・能力を測定していることが示唆された。また,高校生は,すべての問題の成績が良好(オールマイティ),イメージ例が不得意,イメージ例が得意,といった3タイプに分かれる可能性が見出された。

  • 西郡 大, 園田 泰正, 兒玉 浩明
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 105-110
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    「基礎学力・学習力テスト」は,教科書に掲載されている基礎的な問題を択一式によって出題し,試験時間内に受験者が解答を確定させると即座に自動採点できるオフライン型のタブレットテストである。間違えた問題については,当該問題を解くために必要な知識や考え方を「解説文」として表示し,受験者は,解説文を理解した上で類題を解き,それに正解すれば一定の学習力があると評価するものである。佐賀大学では,本テストを佐賀大学版CBTの1つとして開発し,平成30年度の推薦入試において実施した。実施の結果,基礎学力とともに,学習力についても一定の識別力が確認され,基礎学力担保の有効な手段として機能することが示された。本稿では,CBTシステムの概要,試験運用の仕組み,本試験導入に向けた準備,今後の課題などについて報告する。

  • ――ペーパーテストとの比較――
    安野 史子, 山下 卓弥, 柳澤 秀樹, 高木 繁, 中島 範行, 林 誠一, 松原 静郎
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 111-116
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究は,CBTの特性を生かした教科・科目ベースの問題を試作し,検討することを目的として実施してきている。今回は,映像やシミュレーション実行のための動的オブジェクトを含む化学の問題について,PBTと評価がどのように異なるのかを探るため,CBT用に開発した問題の一部をPBT版に直し,比較調査を実施した。その結果,冊子全体としては明確な違いは確認できなかったが,PBTとCBTで問題の提示方法が異なることもあり,個別の設問において差異が観察された。

  • 西田 知博, 植原 啓介, 角谷 良彦, 中野 由章
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 117-123
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    現在,文部科学省大学入学者選抜改革推進委託事業「情報学的アプローチによる「情報科」大学入学者選抜における評価手法の研究開発」において,「思考力・判断力・表現力」を評価する「情報科」CBTシステムを開発している。ここでは,2017年度実施した試行試験用システムと大学1年生および高校生を対象に行なった試行試験の結果と分析,今後の導入を考えている出題の枠組みついて紹介する。2017年度の試験は大学生が176名,高校生が1406名受験した。大学生と高校生では得点に差はあるものの,得点傾向は類似した結果が得られた。また,システムの操作性に関しては概ね高評価であったが,従来の紙を使った試験と比べてどちらを好むかという問いにはその評価が分かれる結果となった。

  • ――入学時アンケートから見えること――
    和久田 千帆
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 144-149
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    2022年から導入される高校の次期学習指導要領では,「総合的な学習の時間」は,探究的な活動を重視する視点から「総合的な探究の時間」に改められる。高校では,2022年を待たずに探究的な学習活動が活発になっていくと予想される。高校での探究的な学習活動の成果の変化を把握するためには,現在の状況を整理しておく必要がある。そこで本研究では,2015年度から2017年度の島根大学の入学者を対象とし,入学時アンケートを用いて,高校で探究的な学習活動を経験した者の割合の変化について調べた。更に,高校で探究的な学習活動の経験がある者について,入試区分の差に着目し,本学入学前の探究のプロセスの定着について考察した。

  • ――九州地区国立4大学によるベンチマーキングを通じて――
    三好 登, 望月 聡, 福井 寿雄, 西郡 大, 吉村 宰, 當山 明華, 藤井 良宜
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 124-131
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究では,進学希望の変化に与えるオープンキャンパスの効果を明らかにするため,大分大学・佐賀大学・長崎大学・宮崎大学による比較を通じて検討を試みた。このことを通じて,各大学・学部における訴求力のあるオープンキャンパスの企画及び,その進め方を提示する。分析の結果から,オープンキャンパスに参加した高校生の性別,学年及び,志望順位の与える影響について大学間で違いはみられないものの,出身県に関しては異なることが確認された。また大分大学を事例とした分析の結果より,各学部でオープンキャンパスが運営されている性格上,教育内容,就職状況,入試方法・内容や,取得できる資格にかかわる情報である「学部関連情報」のものを十分享受し得たときに進学希望の気持ちの変化が生じることもわかった。

  • 齋藤 朗宏
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 132-137
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    アドミッション・ポリシーの制定が求められるようになり,20年近くが経過した。その間,学校教育法施行規則一部改正,3つのポリシーの策定及び運用に関するガイドラインの制定などを経てアドミッション・ポリシーも,より具体化された内容が求められるようになっている。そこで,本研究では2012年度における各大学経済学部のアドミッション・ポリシーに関する調査結果と現在の同様の調査結果を比較することで,どのようにアドミッション・ポリシーは変化し,具体化が進んでいるのか確認した。その結果,キーワードの出現頻度の変化,特徴的なキーワードの変化が確認できた。

  • ――ハワイ州を事例に――
    永田 純一, 杉原 敏彦, 高地 秀明
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 138-143
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    ハワイ州の公立高校では,高大接続プログラムがこの数年極めて活発に開発されている。地元の州立大学と共同で実施しているプログラムの他に,高校独自で実施しているプログラム等複数の実施形態がみられる。さらに,高校卒業後の進路を見据えたアカデミーと呼ばれる分野別コース制カリキュラムをとる高校が増加傾向にある。大学進学後における分野選択との関係も含めて,我が国における高大接続システムとの比較検討を行いたい。

  • 石原 正道, 山口 猛, 古山 幹雄
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 150-154
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    適切な成績評価指標として正答率の伸び率を用いた指標を導入した。導入した指標の妥当性を検討するため,導入した指標を含む3種類の指標を検証した。検証には数学の問題に対する正答率を用いた。 正答率から得られる伸び率が成績評価として妥当であるか散布図により検討し,さらに伸び率が1回目の正答率に依存するか評価した。この結果,(1)単純な伸び率は成績の評価には適切でないこと,(2)単純な伸び率に比べ,高正答率であるほど大きく補正された伸び率は,正答率が高くなる場合には成績評価の妥当な指標であること,(3)単純な伸び率や高正答率であるほど大きく補正される伸び率に比べ,本研究で導入した補正された伸び率は,正答率の増減に係わらず妥当な成績評価の指標であること,が判明した。

  • ――日本におけるアドミッション専門人材の養成と能力開発の意義の探究――
    山本 以和子
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 155-161
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    韓国では,教科学力による点数主義的評価から脱却するために入学査定官による多面的・総合的評価入試を導入した。その入学査定官は担当の入試関連業務の中で高い業務能力が求められている。本研究では,その能力を開発する仕組みを調査し,我が国のアドミッション専門人材養成や能力開発の意義について考察した。調査より,韓国では入学査定官の専門性開発が入学査定官制発足当初から重要視されていたことと,養成および育成の機関による教育訓練プログラムを充実化し,さらに大学内において組織人材管理の仕組みが存在していることが判明した。それらから今後の日本における教育・入試改革の質向上を推進するためにも入試専門家養成や彼らの能力開発の機会創出および技能・キャリアに応じた組織管理体制の構築・維持方策が必要だと考察した。

  • ――思考発話法を用いた大学入試センター試験の国語多肢選択式問題との比較実験――
    益川 弘如, 白水 始
    原稿種別: 原著
    2019 年 29 巻 p. 162-168
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    入試問題の改変には問題形式の違いが引き出す思考過程に関する知見が必須である。本研究は,良問と言われる東京大学の国語記述式問題がいかなる思考過程を引き出しているかについて,同じ作者の文章が出題された大学入学センター試験の多肢選択式問題と比較した。思考発話実験の結果,前者の方が参加者から,問題文全体を読み,内容理解に基づいて解答を検討するという思考過程を誘発することがわかった。今後の入試問題の改変に向け,出題意図と出題形式や設問構成,そしてそこで誘発される思考過程とを一体的に検証することの重要性を指摘した。

  • 植野 美彦, 西郡 大
    原稿種別: ノート
    2019 年 29 巻 p. 169-175
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    2021年度入試より,一般入試の名称は「一般選抜」に変更され,筆記試験に加えて「主体性等」の評価が求められる。特に,募集人員の大きい学部・学科等においては,多数の志願者を対象に「主体性等」を評価する入試制度設計が必要となり,喫緊に検討を進める必要がある。また,一般入試で学力以外の評価が加わる選抜が多数派となると,成績開示等の対応も同時に見直さなければならない。これらの課題解決に向けて,一般入試における「主体性等」評価の有用な制度として考えられる「段階選考」の考え方を紹介し,入学者選抜要項や学生募集要項においても丁寧な説明が求められることから記載内容を検討する。さらに,これまでの成績開示等の整理を行い,開示情報の検討も進める。

  • 秦野 進一
    原稿種別: ノート
    2019 年 29 巻 p. 176-182
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    資格・検定試験で使用されている長文読解用の英文を分析し, 文章と語彙の難易度を比較・検討した。 その結果, それぞれの試験で使用されている長文読解用の英文の文章, 語彙の難易度にはかなりの差があることが判明した。文章, 語彙のどちらに関しても, センター試験とほぼ同レベルの難易度のものから, センター試験より難易度の高い東北大学の前期個別試験と同レベルの難易度のものまであった。また同程度の難易度の英文を複数使用している資格・検定試験もあれば, 難易度に差のある英文を複数使用している資格・検定試験もあることがわかった。

  • ――北米・ハワイ調査の知見をふまえて――
    山田 恭子, 保坂 雅子, 盛山 泰秀, 山田 美都雄, 天野 智水, 鹿内 健志, 高山 千利, 多和田 実, 山城 新
    原稿種別: ノート
    2019 年 29 巻 p. 183-187
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本調査は,新しい入試のためのベースとなる情報収集を行うために実施した。調査は,アメリカ合衆国 (北米大陸とハワイ州) において,大学のアドミッションオフィサーやリクルーターを中心にインタビュー形式で行い,入学者選抜の方法・業務,高大接続事業の実態を聞き取った。その結果を踏まえ,本稿では,今後琉球大学で行うべき高大接続事業を検討している。検討を通して生まれたアイデアのうち,高大接続プログラムの一環として,実現しつつあるものを中心に紹介する。

  • ――静岡県における工学系の高大接続事例をもとに――
    雨森 聡, 宇佐美 壽英, 藤井 朋之
    原稿種別: ノート
    2019 年 29 巻 p. 188-193
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    筆者らは,高大接続的な内容のパフォーマンス課題とその評価を,地域の高校と大学の関係者が協働する高大連携の体制で実践を行った。その実践では,ペーパーテストだけではなく,パフォーマンス課題等を用いて学力の3要素を評価しようと試みている。この実践と評価についてのデザインを提案することが本稿の目的である。実践の内容は大学の専門分野から高校教育に到達するものを用意し,難易度はナンバリングでいうところの大学1年次かそのひとつ下のレベルに設定し,大学での学修との接続性を持たせる。このデザインに基づき,2度の実践を重ねている。本実践は,他の領域での流用や評価の汎用性も念頭に置いている。

  • ――パーソナリティおよび学力の3要素に関する記述に注目して――
    並川 努, 吉田 章人, 坂本 信
    原稿種別: ノート
    2019 年 29 巻 p. 194-199
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究では,高大接続改革などの状況も踏まえて,現行の高校調査書を対象に,生徒の特徴がどのように記述されているのかを検討した。227名分の調査書の「指導上参考となる諸事項」のデータから,そこに記載されているパーソナリティに関する記述および「学力の3要素」に関する記述に着目をした集計を行った。その結果,パーソナリティでは「誠実性」に関する記述が,全体の85%と多く見られること,「誠実性」「調和性」「外向性」の3因子に言及されるケースが多く見られることなどが示唆された。また,学力の3要素については,「知識・技能」に関する記述が多く見られたのに対して,他の2要素については17%程度にとどまることが示唆された。

  • 前川 直哉
    原稿種別: ノート
    2019 年 29 巻 p. 200-203
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本稿では福島県内の高校生の社会貢献活動について,活動を通した学習を意味するサービス・ラーニングの観点から捉え,それらの活動をより活性化するために筆者が中心となり実践してきたコンテストについて報告する。コンテストは2017年度より県教委と福島大学アドミッションセンターが参入し,活動同士の横の繋がりの創出や学校内の評価枠組みへの位置付けに効果があった。今後の課題は活動する高校生が自身の活動内容と学校での教科学習との関連性を実感できる仕組み作りである。

  • ――関係性志向の入試広報の重要性――
    野口 将輝
    原稿種別: ノート
    2019 年 29 巻 p. 204-209
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    これまで入試広報研究の多くは「短期的な視野での志願者獲得」の議論が中心であった。しかし,それは広報,つまりパブリックリレーションズの本質とはかけ離れたものである。本来,パブリックリレーションズとはステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって,良好な関係性の構築を目指す経営的な機能である。本研究は,入試広報にはじめて広報理論を持ち込み,積極的な議論を行った。本研究では,入試広報の「広報対象の入れ替わりによる広報の非効率性」と「受験生の進路選択に対する高校の教員と保護者の影響力の強さ」という二つの独自性をもとに,長期的な視野でステークホルダーとの関係性を志向する「大学入試パブリックリレーションズ」が必要だと結論づけた。

  • ――入試専門家育成のあり方――
    石倉 佑季子, 川嶋 太津夫, 山下 仁司
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 211-216
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    現在,多くの大学で多面的・総合的に評価する入学者選抜への転換を図っており,入学者選抜において知識・技能に加え,思考力・判断力・表現力,そして主体性・多様性・協働性のいわゆる「学力の三要素」を多面的・総合的に評価できる入試専門家の養成が求められている。専門家養成の必要性が高まる中,大阪大学高等教育・入試研究開発センターでは,文部科学省概算事業「多面的・総合的入学者選抜改善システム構築」(平成28~33年度)のプロジェクトの一つとして,入試専門家養成プログラムの開発に取り組んでいる。本稿では,日本の高等教育の文脈に即した入試専門家の育成プログラムの開発を検討すると共に,今後のプログラムの展開を探ることを目的としている。

  • ――薬学部AO入試における書類審査での活用事例から――
    関 陽介, 植野 美彦, 澤田 麻衣子, 石田 竜弘
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 217-222
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    2018年度入試から徳島大学薬学部はアドミッション・オフィス入試(以下,AO入試)を導入している。ただし,書類審査や面接等の多様な選抜方法の組み合わせにより評価機会が増加するため,AO入試に携わる教職員の負担を配慮した入試業務の実施が求められた。そこで,本学のアドミッション組織では,まずは書類審査を対象に問題を整理した。そして,顕在化した問題解決を目指した分散評価システムを開発・導入し,入試業務の円滑化を実現した。本稿では,本システムの設計論から機能開発まで,さらに導入結果について述べる。

  • ――高校の進路指導現場に対する調査からの検討――
    竹内 正興
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 223-228
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    本研究は,地方国立大学における「大学入試センター試験を課す」タイプの推薦・AO入試の選抜スケジュール,中でも特に,出願時期,個別試験日の設定に対して受験生を指導する高校の進路指導現場がどのように捉えているのかについて,九州・沖縄地区の高校教員へのインタビュー調査を行い,入試制度の設計について検討することを目的とする。インタビュー調査の結果,出願時期の設定については高校によって意見が分かれ,個別試験日については多くの高校が「センター試験前はセンター試験対策に集中したい」という理由から大学入試センター試験後の設定を望んでいることがわかった。また,高校の進路指導現場は「大学入試センター試験を課す」タイプの推薦・AO入試の出願指導に際して,大学入試センター試験を合格のポイントとして重視している傾向が窺われた。

  • 宮下 伊吉, 飯田 和生
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 229-233
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    平成29年7月13日,文部科学省より発表された「高大接続改革の実施方針等の策定について」では,高等学校の調査書や提出書類等の改善が示され,平成32年度より調査書の「評定平均値」は「学習成績の状況」に改められる。三重大学アドミッションセンター入試情報調査・研究部門では,高校での学習成績の状況と大学入学後の成績の追跡にあたり,履修登録基準GPAをもとにした規格化順位を使用している。そこで,高校での学習成績(評定平均値)と大学入学後の学業成績(規格化順位)との関連性を研究し,その対応関係を確認したので,本稿で報告する。

  • ――広島大学を事例に――
    杉原 敏彦, 永田 純一, 高地 秀明
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 234-238
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    広島大学では3年前に英語外部検定試験をAO入試に導入した後,その成果を踏まえて来年度から一般入試においても活用しようとしている。優れた能力・意欲を持つ多様な人材を多面的・総合的な選抜によって判定するという国立大学の入学者選抜のミッションにとって,英語外部検定試験を活用することはどのような意味があるのか,広島大学の入学者選抜を事例としてねらい・成果・課題を探る。

  • ――鳥取大学での15年間の実践――
    森川 修, 山田 貴光, 小山 勝樹, 小倉 健一, 古塚 秀夫
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 239-244
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    鳥取大学では15年間に渡って早期合格者に対する入学前教育を行ってきた。宿泊を伴うユニークな研修を実施しており,国立大学としてはe-ラーニングを早期(平成19年)から導入し,学習習慣の継続を促してきた。研修プログラムは年々改良を重ねて,現在では,グローバル社会への興味喚起や鳥取県への興味関心を持たせる内容を取り入れている。また,入学センター教員が入学後にも関わりを保つことで,高校生から大学生活へのスムースな移行を支援している。

  • 進藤 明彦
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 245-250
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    平成28年3月に出された高大接続システム改革会議「最終報告」において学力の3要素が示され,大学入学者選抜における「主体性,多様性,協働性」の評価が課題となっている。本稿では,平成31年度神戸大学「志」特別入試における書類審査の実施に向けて,その評価の根拠として必要となる受験生の主体的活動事例を,高校生活における視点からの分類を試み,その評価の観点を検討した。

  • ―― ケーススタディとしての高校調査を踏まえて ――
    三宅 貴也
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 251-256
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    国立大学の入学者選抜において,大きな単位で学生募集を行う括り入試が徐々に増加している。歴史を遡れば,一部の大学では行われてきたが,近年導入した大学,学部を調べるとパターンが多様化している。本研究では平成30年度の国立大学入学者選抜における状況,及び,高校生・受験生の大学選択に影響を与える高等学校教員が括り入試をどのように評価しているかを調査し,結果を考察した。

  • 福島 真司, 日下田 岳史
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 257-262
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    受験倍率が低い,あるいは,入学定員を入学者数が下回る等の選抜性が低い入試では,コンピテンシーやリテラシーにおいて,大学側のアドミッションポリシー(以下,AP)に沿った入学者を選抜することは可能であろうか。本稿は,首都圏に所在する私立大学A大学の新設学部において,全ての入試区分で「数学」「面接」を必須科目とした際の入試結果や入学後の諸調査結果等を考察し,一定の条件下においては,入試科目自体が選抜機能を果たすことを示した。

  • 船橋 伸一
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 263-268
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    入試広報に力を入れても,ありきたりな入試方式では全国から優秀な学生を集めることは困難である。そこで,アドミッションポリシーを考慮しつつ,入試科目や配点を変更するよう提案した。その結果,予備校が公表する偏差値ランキングや,実際の得点率も上昇するなど,一部の学部・学科において,入学者の学力の向上が見られた。同時に,できるだけコストをかけずに,効果的に入試広報を行うよう取り組んだ。種々の取り組みを行った結果,受験生やその父母,高校教員への直接対話が最も効果的であると判断するに至った。そして地方試験会場として,経済学部教授会に名古屋会場を,工学部教授会に首都圏会場の設置を提案し,実現した。年々これらの試験会場での受験者数は増加し,会場の定員を越えることとなった。

  • ――海外における入試広報効果に着目して――
    三好 登
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 269-276
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    「留学生30万人計画」が進められており,2020年を目途に30万人の留学生の受け入れが課題となっている。2017年時点で留学生は267,042人で,その中でも中国人留学生が最も多くなっている。このため本研究では,中国人留学生を対象に,彼ら/彼女らがいかに日本の大学へ進学行動を行っているか検証した。このことを通じて,留学生獲得のための入試広報の進め方と,改善策を提示することにつながることが期待される。分析の結果から,中国人留学生は,入試相談,研究内容のマッチングや,留学中の留学生からの話しといった直接型入試広報,また進学希望大学のホームページ閲覧及び,進学希望大学にメール・電話で直接問い合わせという間接型入試広報によって,日本の大学へ進学行動を行っていることが明らかとなった。

  • ――入試データベースの利活用および大学組織における連携を題材として――
    大竹 洋平
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 277-284
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    これから入試広報活動を検討・再考しようとする個別大学が,入試広報戦略を策定するうえで,注意すべき論点についてまとめる。進学意識の情報収集を行い,入試方法戦略を策定していく流れのなかで,入学志願者動向および追跡調査を利用するとともに,地域性も検討する必要がある。個別大学の事例を報告することにより,入試広報活動を取捨選択する初期の段階で,広報活動一覧や入学志願者一覧などのデータベース構築が有用であることを示す。また,入試広報活動に付随する諸問題として,大学の情報発信・大学のセクショナリズム・人事異動などについてまとめ,打開策として上記のデータベースが役立つこと,共通事項として,広報活動の経済性・公益性についても論じる。

  • ――能力開発研修会参加現況と課題――
    山本 以和子, 木村 拓也, 立脇 洋介, 西郡 大
    原稿種別: 資料
    2019 年 29 巻 p. 285-290
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル フリー

    これまでのアドミッションセンターの活動より研究者からアドミッション人材の能力開発についての言及がなされていたが,高大接続改革に乗じて研修機会の創出の提案があり,2017年度よりアドミッション専門人材の能力開発研修がスタートした。しかし,我が国のアドミッション担当者のキャリアパス,業務領域が多様なため研修の内容やカリキュラムの確定が難しい状況である。そこで,研修受講者の現状を調査した結果,研修プログラムと受講対象者の適合性の必要があり,その背景にはアドミッション専門人材の適正な能力の枠組み及び担当者のキャリアパスの不在,入試担当者の組織管理運営の脆弱性が明らかになった。

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