2022 年 32 巻 p. 84-91
2016年度入試より私立大学定員管理の厳格化が始まった。受験生の志願動向に与えた影響について,本格的な検討はこれからである。本研究では,志願者が多く難易度も高い東京都内の大学への合格者を指標として,定員管理厳格化前後における東日本(北海道,東北,関東)の公立高校の志願動向を分析した。2016年度入試以前6年間と以後5年間の平均値を比較した結果,北関東と東北の中核都市,首都圏・東京の郊外の高校にダメージが見られたが,逆に首都圏・東京の都市部の高校は相対的に大きく実績を伸ばしていた。高校の進学実績や国公立大学への進学動向も加味すると,首都圏・東京23区にある主な高等学校と北関東・東北・北海道にある主な高等学校の間に顕著な格差拡大傾向が看取された。