生物環境調節
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カイコの羽化行動に関する研究 (II)
羽化リズムの形成と脳の神経分泌
黄色 俊一渡辺 四郎
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1978 年 16 巻 2 号 p. 41-46

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抄録
カイコの羽化リズムすなわち羽化の同調性について再検討し, 人為的に羽化の時刻を制御する方法ならびに羽化行動の生理学的一端を明らかにする目的で実験を行い, 次の結果を得た.
1.恒暗条件下に蛹をおき, 羽化する個体が出現しはじめたころに, いろいろな長さの明期を挿入した場合, また恒明条件下に蛹をおき, いろいろな長さの暗期を挿入した場合, その後の羽化ピークは, (9~10) +24n時間および1+18n時間リズムと一致しない場合が認められた.
2.非24時間光周期によっても羽化リズムが変化し, それに基づいた羽化時刻の制御が可能であった.
3.アラタ体摘出個体群でも無処理個体群と同様の羽化リズムは形成されたが, 対照と比べて羽化時刻にやや遅れがみられた.
4.羽化前後の個体の脳について組織学的な観察をした結果, 羽化行動には, 脳間部の大型中央神経分泌細胞の神経分泌物が関与している可能性が示唆された.
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© 日本生物環境工学会
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