抄録
葉温分布と気孔開度との関係を実験的にとりあげた.葉温分布はサーマルカメラを入力とするディジタル画像処理で求められ, 気孔開度は走査型電子顕微鏡のモニター出力をディジタル画像処理系に入力させて求めた.5時間の暗条件の後, 光照射を行った場合, 葉温は過度的に振動し定常となる.このプロセスにおいて暗条件, 葉温の最大値直後のA時点, 葉温の降下速度の最大値であるB時点, 葉温の最小値直後のC時点, 定常のD時点を設定すると, 暗条件, A時点, D時点において, 葉温分布と気孔開度との間に興味ある関係がえられた.すなわち, 葉温分布と気孔開度との相関係数をγDark, γA, γDとすると, ヒマワリではγDark=-0.91, γA=-0.80, γD=-0.89であり, ミカンではγDark=-0.99, γA=0.95, γD=-0.99であった.他方B, C時点では相関係数に一様な傾向がみられなかったが, これはいくつかの過渡現象に支配されるためと考えられる.本論文でとりあげた方法論は, 植物生育における物理的生理現象を明らかにしていくうえで最も効果的なものの一つであることが結論としていえる.