生物環境調節
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放射冷却による葉面上結露および結霜の制御
松井 健江口 弘美森 啓一郎
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1981 年 19 巻 2 号 p. 51-57

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抄録
放射冷却装置を試作し, グロースチャンバー内にそれを設置して, 葉温に対する放射冷却作用の解析と葉面上結露および結霜の制御を試みた.断熱材で作成した放射冷却箱の底部に直膨式冷却コイル (伝熱面積300cm2, 冷凍機能力1, 430kcal hour-1) を備え, 天井部には凹面鏡をとりつけて植物体からの放射を反射によって冷却コイルにできるだけ収れんさせるようにした.グロースチャンバーで制御された空気 (0.2m3min-1) を冷却箱壁面上部の孔から取り入れ, 壁面下部の左右の孔から排出する方式を採用した.この放射冷却箱内の空気流は下方向に1.3cm sec-1となったが, 露点温度分布は水平面にほぼ均一な層をなしたパターンであった.放射冷却によって葉温は周囲空気温度より少なくとも1.0℃低下し, 葉温が露点温度より低くなった時点で結露および結霜が認められた.露は冷却時間が長いほど大きく, また霜は温度条件によって異なる形状を示した.このように本実験で開発した放射冷却装置によっ
て, 諸条件下での葉面の結露および結霜の現象を人工的に再現することが可能になった.
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© 日本生物環境工学会
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