筆者らは, 既に, 熱赤外画像計測システムを用いて, 気孔開度の指標である水蒸気拡散に対する気孔抵抗やSO
2あるいはNO
2収着量の葉面分布を推定する手法について報告している.本論文では, この画像計測手法を用いて, SO
2あるいはNO
2に被暴した植物葉に生じる気孔反応や可視害等の急性影響とガス収着量との関係を定量的に検討した.その結果は, 以下のようであった.
1) SO
2あるいはNO
2暴露に伴い, 気孔は閉鎖する傾向があった.しかし, その挙動は, 葉の局所部位により異なり, 不規則であった.これらの局所部位における気孔反応の違いは, ガス暴露期間中の積算ガス収着量の違いには依存しなかった.このことは, SO
2あるいはNO
2に対する気孔の感受性が葉の局所部位により異なることを示唆している.
2) SO
2あるいはNO
2に被暴した葉において, 可視害は, 積算ガス収着量が閾値を越える領域に発現する傾向があった.そして, 障害葉は, 正常な領域と可視害領域に分離されるという特徴があった.この特徴ある可視害の発現は, 葉の局所部位における気孔抵抗や葉面境界層抵抗などのSO
2あるいはNO
2収着を支配する要因の違いにより生じることが示唆された.
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