生物環境調節
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ヤチダモの実生と小径木の光合成特性と生育地との関係
小池 孝良
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1984 年 22 巻 2-3 号 p. 33-38

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抄録

ヤチダモの3年生の実生と9年生の小径木の植物季節と光-光合成曲線を調べた.実生の出葉期間は小径木より若干長く, シュート当りの着葉数も多かった.落葉期は実生のほうが小径木より若干遅かった.両者の光-光合成曲線を比較すると, 実生は小径木より光補償点が低く, 曲線の初期勾配は急であった.実生は355μE・m-2・s-1で光飽和し, 見かけの光合成速度は6.18mgCO2・dm-2・hr-1で, 小径木ではそれぞれ635μE・m-2・s-1, 12.50mgCO2・dm-2・hr-1であった.また葉の暗呼吸速度は6°~30℃の温度域で前者より後者のほうが高かった.以上の結果から実生は林床に, 小径木では林冠に生育するヤチダモでは, 生育段階によって植物季節と葉の光合成特性が生育地の環境条件に対して適応的に変化すると推論される.

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© 日本生物環境工学会
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