生物環境調節
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ビニルハウスで栽培された野菜の収穫対象器官の日生長量に及ぼす気象要素の影響
森 茂樹大隅 喜代司吉沢 克彦北川 治大谷 博実
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1984 年 22 巻 2-3 号 p. 39-46

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抄録

ビニルハウス内で栽培された野菜の収穫対象器官の日生長量に最も強い影響を与える気象要素を明らかにする目的で, キュウリの果長, トマトの果径, レタス, シュンギク, ホウレンソウの葉長, カブ, ハツカダイコンの根径の日生長量と昼間気温, 夜間気温, 日積算日射量, 日最大飽差との関係を統計解析した.また, ビニルハウス内と人工気象室内におけるキュウリの果実伸長の日変化に及ぼす気温と湿度の影響について検討した.
その結果, 日生長量に対して果菜と葉菜では昼間気温か夜間気温が促進方向に, 根菜では日最大飽差が促進方向に最も大きく関連を持ち, 日積算日射量は多くの場合抑制方向に大きい関連を持つことが明らかとなった.根菜で日最大飽差が最も大きな促進因子となった原因は日最大飽差の増大に伴う蒸散量の増加が根部の著しい収縮を招き, 測定起点の数値を引き下げたためと思われた, 日積算日射量が抑制因子となった原因は, キュウリの果実伸長の日変化に気温が促進的に, 湿度が抑制的に働いたことから, 日積算日射量ときわめて高い相関関係を持ち, 重回帰分析では分離できない湿度の影響ではないかと考えられた.

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