生物環境調節
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一段養液栽培トマトの裂果時における水分状態
池田 敬坂本 有加渡邉 慎一岡野 邦夫
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1999 年 37 巻 2 号 p. 153-158

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抄録

本研究はトマト (Lycopersicon esculentum Mill.) 一段養液栽培において頻発する裂果について, その機構を水分状態計測から考察することを目的とした.培養液の濃度を-0.06MPa一定に設定した区 (対照区) および開花後24日目以降-0.36MPaに変更した区 (ストレス区) において, 果実部位別の水分状態を等圧式サイクロメータで計測した.ストレス処理後10日目までの果皮硬度は両処理区に大きな変化はなかったが, 裂果頻度はストレス区において大きく減少した.対照区における果肉部と培養液の水ポテンシャル勾配は, ストレス区におけるそれよりも大きくなった.また果肉部の膨圧は対照区において日の出後に増加したのに対し, ストレス区においては大きな変化はみられなかった.このことから日の出後の水ポテンシャル勾配の増加, そして果肉の膨圧の上昇が, 裂果を引き起こす主要因と考えられた.

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© 日本生物環境工学会
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