抄録
種々のタイプおよび濃度のサイトカイニンを添加したMS固形培地で嵯峨ギク葉片から不定芽を誘導したところ, 不定芽誘導に対する最適培地および形成率が品種間で大きく異なった.‘小倉錦’では, ウレア型サイトカイニンであるTDZを2.5×10-5 M添加した培地で82.2%と最も高い不定芽形成率が得られ, 続いて‘嵯峨の秋’でウレア型サイトカイニンであるCPPUを2.5×10-6 M添加した培地で56.7%, ‘嵯峨の雪’でプリン型サイトカイニンであるBAを2.5×10-6 M添加した培地で12.2%, および‘嵯峨の春’で5.0×10-6MTDZ添加培地での1.3%の順であった.一方, ‘嵯峨の春’を除くいずれの品種もホルモンフリーの培地で容易に発根できたが, ‘嵯峨の春’で得られた不定芽からは発根せず, 再分化植物体を得ることができなかった.以上の結果から, 嵯峨ギク品種群内において葉片からの不定芽形成能に大きな品種間差異が存在することが明らかとなった.また, キク品種ではこれまでに極めて報告の少ないTDZあるいはCPPU等のウレア型サイトカイニンが不定芽形成に有効であることが示唆された.