生物環境調節
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トンネル被覆栽培における夜間温度の理論的考察
三木 肇小高 矩正
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1969 年 6 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

夜間におけるトンネル被覆の冷却機構について考察し, トンネルに作用する外気温および天空放射の影響は, 外気有効温度として一元化されること, トンネルの保温特性は放熱比と内外の熱伝達率, 土壌の熱コンダクタンスによって定まる三つの無次元パラメーターα, β, γによって表示されることを明らかにした.地温の冷却についてはプロフィル法を適用し, 冷却速度に関するパラメーターとしてβを導いた.フィルム温度, 被覆内気温を示す理論式はつぎのようである.
θf=1/1+γθe+ (1-1/1+γ) θs
θi=H/ (H+1) (1+γ) θe+ {1-H/ (H+1) (1+γ) } θs
ただし,
θe=αθ0+ (1-α) θR
代表的な外囲条件の変化に対して行なった試算の結果をFig.2, Fig.3およびFig.6に示す.
以上の結果として, つぎのような結論が得られた.
(1) 空がよく晴れて無風の夜には, 被覆内気温が外気温を下まわることがある.
(2) 土壌の状態によって冷却速度が異なり, 熱コンダクタンスの大きい場合には被覆内気温も下りにくい.したがって土壌水分を増すことは保温上有効である.
(3) 放熱比の小さいトレンチ栽培 (Fig.5) などは保温性がすぐれている.
また被覆内気温について理論式による推定値と, 観測結果とは良好な一致を示した (Table2) .

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© 日本生物環境工学会
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