応用生態工学
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事例研究
石狩川におけるカワヤツメの産卵場選択
白川 北斗柳井 清治後藤 晃
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2012 年 15 巻 1 号 p. 71-79

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抄録
絶滅が危ぶまれているカワヤツメの産卵場選択に重要な環境要因を明らかにするため,北海道石狩川の支流であるオシラリカ川において,2005年,2006年,2009年の三カ年調査を行った.調査は全ての年度で 6 月に行い,産卵床(在/不在)と物理環境(流速,水深,河床材料)を測定し,同時に高精度 GPS を用いて産卵床の空間位置を記録した.産卵床と環境要因の関係を調べるため,解析には一般化加法モデル (GAM)を用いた.調査の結果,産卵床の空間分布は年度ごとに異なっていたが,その分布は一様ではなく集中分布する傾向を示した.またカワヤツメの産卵場選択に影響する要因として,3 カ年通して水深 35-50 cm 前後が統計的に有意に重要であったが,流速は年度ごとに異なることが示された.これらのことから,カワヤツメが水深 35-50 cm 前後に産卵するのは,河川の水位低下による卵の斃死を防ぐためと考えられた.
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© 2012 応用生態工学会
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