応用生態工学
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事例研究
利根川最下流域に流入する感潮河川最下流部の堰が魚類相に及ぼす影響
棗田 孝晴瀬谷 政貴
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2012 年 15 巻 2 号 p. 187-195

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抄録
利根川河口堰よりも下流域 (千葉県銚子市) で利根川に流入する 2 つの感潮河川 (高田川, 忍川) の最下流部に設置された堰の上・下区間において, 2010 年夏期 (7 ~ 8月) と秋期 (10 月) に魚類相調査をおこなった.両河川からは計 15 種類 226 個体の魚類が採集され,うち 10 種 (66. 7%) が通し回遊魚であった.堰の落差が比較的小さい (50 cm) 高田川では,堰の上・下区間とも通し回遊魚が確認されたのに対して,二段の落差 (55 cm + 130 cm) を持つ忍川の堰の上流区間では通し回遊魚が全く確認されず,堰の上・下区間での魚類相の類似度は著しく低かった.忍川の堰の上・下区間の物理環境が類似していることから,同川では落差の大きい堰がもたらす通し回遊魚の上流への移動阻害が,魚類相に大きな相違をもたらしていることが示された.感潮河川に設置された堰の改善策として,高水位時に通し回遊魚の堰の通過を可能にする,小規模魚道や石組みなどの設置による落差への軽減措置が,海域と淡水域との連続性を保つうえで有効であると考えられた.
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© 2012 応用生態工学会
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